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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第弐拾捌話-御祭
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御祭-12

 国巳が住むマンションを出た長四郎、燐、泉巡査の三人。

「で、何か分かった?」

 燐はトイレに行くふりをした長四郎が国巳の部屋で得た情報について聞いた。

「分かる? トイレに行っていただけだよ。俺は」

「嘘つけ。長いトイレに行ったふりをして、あいつの部屋で探りを入れていたんでしょ?」

「玄関前の時は察しが悪かった癖に」

 長四郎はやれやれだぜ。みたいな面になる。

「で、探偵さん。何か分かったんですか?」

「分かった事は、彼の部屋にはamazonの箱がいっぱいであること。そんで、病気の彼女がいる事かな」

「病気の彼女?」

「そう、これ」

 長四郎は部屋で撮影した写真を燐と泉巡査に見せる。

 その写真には、病室で肩を抱き寄せ合いピースしている国巳と彼女の姿が映されていた。

「あ、この子」

 写真に映る彼女の顔を見て、泉巡査は何か思い出したようだった。

「知っている子?」長四郎の問いに「はい。知っています」と頷いて答える泉巡査。

「どんな人なの?」

「私があそこで交通指導を始めてすぐに仲良くなった子で、名前は深中 都姫(ふかなか みやび)ちゃん。最近、見かけないと思ったら入院していたんだ」

 寂しげな表情を見せる泉巡査を見て、長四郎と燐は思い入れのある生徒である事を悟った。

 三人はその足で、警視庁へと向かった。

「いらっしゃい。ようこそ、第二班の部屋へ」

 佐藤田警部補が笑顔で、命捜班の部屋に入ってきた三人を出迎える。

「ここが第二班の部屋かぁ〜 一班の部屋とは大違いだな」

 長四郎は物置部屋の後が色濃く残る第二班の部屋を興味津々といった感じで観察する。

「島流しの部屋だからねぇ〜」

 遊原巡査は、いじけた態度で愚痴るのだった。

「で、探偵さんの方は何か収穫あったの?」

 佐藤田警部補は早速、本題を切り出した。

「例のA Iの作成者らしき人物に接触してきたんですけどね」

「どうだったの?」

「どうと言われても、amazonで買い物するのが好きな子ってぐらいしか分からなかったですよ。そっちはどうです?」

「遊原。探偵さんに捜査会議の話をしてあげて」

「はい。捜査会議で犯人に繋がるような報告はありませんでした。捜査方針としては、学校のトラブルメーカーや卒業生、近所の不審人物など取り敢えず怪しい奴を片っ端から探るみたいですね」

「ふ〜ん」長四郎はつまらなさそうに答えた。

「あの、その中に国巳豹牙って生徒は居ますか?」

 泉巡査が質問すると、遊原巡査はリストの中にある名前から国巳の名前を探し始める。

「ない・・・・・・な」

「そうですか」と落胆する泉巡査。

「そんな落ち込む事ないじゃない。捜査は始まったばかりなんだから」

 佐藤田警部補は、泉巡査を励ます言葉をかける。

「はい」と返事するものの、泉巡査はこのまま事件は迷宮入りするんじゃないのかという不安に駆られていた。

「佐藤田さんお願いがあるんですけど」

「何?」

「この人物から国巳って子がどんな人間なのか。聞いてきてくれません?」

 長四郎はそう言って、深中都姫の写真を見せた。

「彼女?」

「はい。彼女だと思います。本人の口から直接聞いた訳じゃないので」

「名前は?」

「泉ちゃん。名前なんだっけ?」

「深中都姫ちゃんです」

「だそうです。入院先聞こうかなと思ったんですけど、先生達、保護者会の準備でてんてこ舞いだったんでそっちで調べてもらえますか?」

「はいよ。遊原」

「はぁ〜い。ただいま」

 少し嫌そうな感じで椅子から立ち上がった遊原巡査は、すぐに調べにかかった。

「なんか、絢さんとは全然違うね」

 少しやる気ない遊原巡査を見て、燐は正直な感想を言ってしまう。

「仕方ないよ。やる気のない中年と組まされているし。ま、歳の近い同僚でも入ればなぁ〜」

 佐藤田警部補は肩は落としているが、その内、やる気に満ち満ちている泉巡査を見ながらそう言うのだった。

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