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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第弐拾捌話-御祭
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御祭-9

「いやぁ〜 お見事ですね。探偵さん」

 そう言って、ホッバーに行き着いた長四郎を褒める佐藤田警部補。

 明野巡査の報告を受け、命捜班・第二班は再度、変邪内高校へと訪れた。

「いやぁ〜 それほどでもぉ〜」長四郎は春日部市在住の5歳児のモノマネをしながら謙遜する。

 そんな長四郎を見て、変なおっさんだなと思う遊原巡査。

「佐藤田さん」明野巡査に呼ばれた佐藤田警部補は驚いたような顔をし「どうしたの?」と返事した。

「あの、その」

「私も捜査に混ぜて頂けないでしょうか。って言いたいんですよ」

 遊原巡査に台詞を奪われた明野巡査はムッとする。

「捜査ねぇ〜 俺は良いんだけど。ほら、君の上司が何ていうかなぁ〜」

「では、上司の許可を得れば良いんですね!!」

「うん、まぁ」

「では、私、明野泉巡査は上司の説得に向かいます!!」

 佐藤田警部補に敬礼し、ダッシュで自身の勤務先の交番に向かっていった。

「元気な娘だねぇ〜」佐藤田警部補の発言にうんうんと頷く長四郎と遊原巡査。

「そういえば、あの女子高生はどこ行ったの?」

「あ、あれは片付けがあるとかで」

 燐は中止になった文化祭の片付けに行っていた。

「佐藤田さん。爆弾について何か分かりましたか?」

「ああ、爆弾はね。市販の打ち上げ花火を同時に爆発させた物なんだって」

「班長」遊原巡査は部外者に捜査情報をペラペラと喋る佐藤田警部補を注意しようとするが、その意に介さず佐藤田警部補は話を続ける。

「一応、爆弾らしくタイマー仕掛けの物だったって」

「成程」

「ここまで話して、何か分かった?」

「分かりませんね」長四郎は正直に答えた。

「だよねぇ〜」

 こんな事で本当に犯人が逮捕できるのかと遊原巡査は、心配になるのだった。

「羅猛さん」

 片付けの最中に担任の生田成美に呼ばれ片づけの手を止め成美の元へと駆け寄る。

「先生。どうしたの?」

「羅猛さん、事件の捜査してるんだよね?」

「うん、まぁ」

「実はさ、気になることがあって」

「気になること?」

「そう。電話対応している時にね・・・・・・・」

 成美が学校に掛かってくる電話対応をしている時のことであった。

 取材問い合わせの電話が少し落ち着いてきた頃、一人の男子生徒が職員室に入ってきた。

 その男子生徒の様子からして、何か用事があるような素振りであったので手隙だった成美が声をかけた。

「どうしたの?」

「あ、いえ」

「先生に用があるなら伝えて置くけど」

「いえ、何でもありませんから」

 そう答える男子生徒の視線の先には、電話対応に追われる生活指導担当の教員・浜屋が居た。

「失礼します」男子生徒は成美に一礼し、職員室を出ていった。

「っていう事があってね」

「浜屋か・・・・・・ 先生的には、その生徒が浜屋がどうしているのか確認しに来たみたいだって言いたいのか」

「そう! さすがは、女子高生探偵」

 成美にそう言われた燐は嬉しくなり、いやらしい笑みを浮かべる。

「先生。その男子生徒は二年生?」

「三年生だと思う。校章の色が、赤だったから」

 変邪内高校では、制服に付けられる校章の色で学年を識別できるようにしていた。

「三年生か。浜屋って去年は、二年生の担任をしていたから面識はあるか。その生徒の特徴を教えてくれない?」

「そうねぇ〜 いかにも優等生って感じの子だったな」

「優等生か。他には?」

「う〜ん」成美は顔をしかめて、生徒の特徴を思い出そうとする。

「あ、そうだ。首に大きなほくろがあった」

「首に大きなほくろね。ありがとう。先生、片付け抜けて良いかな?」

「特別よ。早く事件解決してね」

 成美にそう言われた燐は「Yeah!!」と答え、教室を出て行った。

 燐を送り出した成美は事件解決の為とはいえ、自分が勤務する学校の生徒を疑わざるを得ない状況に心苦しく感じるのだった。

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