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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第弐拾捌話-御祭
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御祭-5

「はい。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。失礼します」

 羅猛燐のクラス二年A組の担任の生田 成美(いくた なるみ)は、問い合わせの電話の対応に追われていた。

 受話器を置き、「はぁ~」とため息をつくと同時に、電話が鳴る。

 出ようとした瞬間、受話器を握る手を捕まれ受話器を無理矢理置かされる。

「ちょっと! 羅猛さん」

「先生。聞きたいことがあるんだけど」

「この忙しい時に?」

「この忙しい時だから。すぐに終わるから。ね? ね?」

「聞きたいことって、何?」

「今日もしくはそれ以前に爆破予告ってなかった?」

「さぁ? 分からないけど。どうして、そんな事聞くの?」

「先生。口固い方?」

「多分・・・・・・」

「じゃあ、教えてあげる。耳を貸して」

 自分の耳を燐に突き立て、燐は耳打ちする。

「え! 事故じゃないかもしれないって!!」

「先生!! 声が大きい!!!」

 燐は咄嗟に成美の口を手で覆う。

「あははは。こっちの話です。こっちの話」

 自分達に職員室の視線が一気に集まり、燐は愛想笑いをして誤魔化す。

「先生。口固くないじゃない」

「ごめん。ごめん」

「ま、良いけどさ。教頭先生、校長先生の動きを注視してくれないかな?」

「どうして、そんな事しないといけないのよ」

「事件解決の為だよ。何だったら、私も手伝うからさ。お願い!!!」

 燐は手を合わせて頼み込む。成美も生徒の懇願にまんざらでもなく燐の頼みを聞き入れるOKサインをした。

「ありがとう。先生!!」

 成美に抱きついて礼を言う燐は、計画通りという夜神月ばりの悪い笑みを浮かべるのだった。

 その頃、校庭に居る長四郎はというと・・・・・・

「あ、美味い! 佐藤田さん、これ、美味いすよ」と自分が食べている一口カステラを佐藤田警部補に差し出す。

「あ、そう。俺の食べているたこ焼きも美味しいよ」

 佐藤田警部補も自身のたこ焼きを長四郎に差し出す。

「班長。俺たち、こんな所で飯食べていて大丈夫なんですか?」

 遊原巡査はそう言いながら、綿あめを頬張る。

 今、長四郎、佐藤田警部補、遊原巡査の三人は来客用に設置されたベンチに並んで座り出店の商品を食べながら、鑑識作業や別部署の刑事の聞き込みが終わるのを待っていた。

「大丈夫。大丈夫。遊原、良いこと教えてやる。警察ってのは、セクト主義でな。俺らみたいな独立愚連隊は嫌われるのよ」

「そうだよ。遊原君。ドぉ~んっと構えてなきゃ」

「探偵さん、良い事言うね。そうよ。ドぉ~んっと構えて捜査が終わるのを待とうや」

 佐藤田警部補は長四郎が食べる一口カステラを口に入れる。

「佐藤田さぁ~ん!!」

 そう大声を出しながら駆けって来る明野巡査を見て「あの子、まだ帰ってなかったの」と佐藤田警部補は少し驚く。

「佐藤田さん。はぁはぁ」息を切らす明野巡査に佐藤田警部補は、未開封の缶ジュースを差し出す。

「これ、飲んで落ち着けや」

「はいっ。ありがとうございますっ!!」

 明野巡査は缶のプルタブを開けて、ジュースを一気飲みする。

「おおっ~ 良い飲みっぷりだこと」感心する佐藤田警部補。

「泉ちゃん、何か分かったの?」

「はい。実は爆弾らしきもの見たっていう証言が」

「証言ねぇ~ どんな?」佐藤田警部補はそう言いながら、自分の缶ジュースのプルタブを開けてジュースを飲む。

「ダンボールの中にサイズ違いのダンボールが入っていて、それが重かったそうです」

「重かった? って事は何か? 箱を開けたのか?」

「いえ、開けようと思った矢先にクラスメイトに呼ばれて開けずじまいだったと」

「で、話を聞かせてくれた生徒は無傷、何だろ?」

「はい。でも、どうして、それが分かるんです?」

「泉ちゃん。それはね、開けようと思った矢先にクラスメイトに呼ばれて開けずじまいでその場から離れた。って事は、資材か何かを運ぶ為に呼び出されテントから離れた後に爆発したからあれが爆弾だって考えるのは当然のことでしょ」

 明野巡査の疑問に長四郎が答えた。

「凄ぉ~い。探偵みたい」

「探偵だからね。実際の探偵はこんな事しないし」

「それより君さ、帰って良いんだよ。本当に」

「いえ、少しでも捜査のお役に立てればと。それにここの生徒には良くしてもらってますから」

 そんなことを言う明野巡査を見て、変わっている奴だなと遊原巡査は思うのだった。

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