表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第弐拾伍話-対決
462/758

対決-29

 長四郎と燐を乗せたバイクは、羽田空港の第一ターミナルの国際線入口の前で停車した。

「到着したぞ」

「分かってます!」

 燐は長四郎の背中を軽く小突き、バイクを降りる。

「さ、探しましょうか?」

「どうやって?」

「それは・・・・・・」

「それは?」

「わかんなぁ~い」

 長四郎はぶりっ子ポーズを取ると同時に、燐から尻に蹴りをもらい受ける。

「痛ててて」

 尻を抑えながら、ロビーを歩く長四郎。

「さっさと探しなさいよ!」

「探したいのは、山々だけど。尻が二つに割れちゃってさ」

「尻は元から、二つに割れてるわよ」

「あっ、そうだった。でも、痛ぇ~」

「人が多すぎて、駄目だね」

「駄目? 何、言ってんの。探偵を舐めるんじゃないよ」

 長四郎はそう言いながら、手荷物検査の列に並ぶ慶次を指さす。

「あっ! 居た!!」

「大声出すな!」

「ごめん!!」

「行くぞ」

 長四郎と燐は、慶次の元へ向かって歩いて行く。

「早くしろよぉ~」

 長い列に苛立つ慶次は、地団駄を踏む。

 すると、両脇からサングラスを掛けた二人組が自分の横に並んで立った。

「悪いが、旅行は中止だ」

「あ、あんたは?」

 長四郎を見て組織が差し向けた殺し屋だと勘違いする慶次に今度は燐が話しかける。

「先日は、どうも」

「き、君は・・・・・・」

「という事で、出ましょうか」

 慶次はガクンと肩を落とし、二人に抱えられ列から出て行く。

 空港警察の取り調べ室へと移動した三人。

「妹さんが重体だってのに、海外旅行とは吞気なものだな」

「俺は、組織から逃れるために」

「噓だね」

「ああ、噓だ」

 長四郎は燐の発言に同意し、頷く。

「あんたは組織から逃げるんじゃなくて、組織に報告する為に日本を出るんだろ?」

「何をバカなっ!!」

「でも、それだとあんたの行動に説明がつくんだよ」

「説明?」

「ラモちゃんと妹さんを敢えて、晴海ふ頭に呼び出し目の前で組織の人間に襲わせることで、自分は組織に追われている身であることをアピールした。そして、邪魔な前尾を消す為に、これを現場に落とした」

 長四郎はズボンのポケットから、慶次が現場に残したUSBメモリを机の上に置いた。

「おかげで、前尾が計画していた爆破テロは防げたけどな。ありがとう」

「・・・・・・」黙ったまま何も答えない慶次。

「あんたは最低の兄貴っ!!」

 燐は机をドンッと叩き、慶次を怒鳴りつける。

「ラモちゃん、落ち着けって。前尾を失脚させたあんたは、次の日本支部トップになしあがる為だろ?」

「どうなの!!」

 燐がそう聞くと、慶次が口を開いた。

「そこまで、見抜かれてるとはなぁ~ その通りだよ。俺は本部に行って前尾の次に支部長になろうとした。その為に、芽衣を使ったまでだ」

 慶次は開き直った顔になり、両手を大きく広げ白状した。

「ま、芽衣が撃たるとは思わなかったけど」

「あんたねぇ!」

 燐が慶次に殴りかかろうとするのを、長四郎が止める。

「ラモちゃん。ムカついたからって殴るのは良くないぜ」

「でも!」

「そうだよ、君。俺は、日本を変える大物なんだから」

「大物ねっ」

 長四郎は手が滑ったような感じを出しながら、慶次を殴る。

 慶次は椅子から転げ落ちた。

「本当の大物は妹が撃たれているのに、吞気に海外へ高飛びなんてしないんだよ!」

 長四郎は倒れこむ慶次を蹴り飛ばす。

「ちょっと、やりすぎだよ」

 今度は、燐が長四郎を止める。

「お、そうだな」

 我に返った長四郎は服を整える。

「ねぇ、大物さん。芽衣ちゃんがあんたの事をどれくらい心配してたか、分かる?」

「いいや」

「滅茶苦茶、心配してたんだよ!」

 燐は慶次にデコピンする。

「ラモちゃんのデコピンで済んだんだ。良かったな」

「お前達、一体何なんだ!」

「俺達か? 聞かれて名乗るもおこがましいが、答えてやろう。Violent 燐! Stylish 長四郎!」

 長四郎と燐はドヤ顔でポーズを取る。

「はぁ?」

 慶次は口をポカンと開けて、啞然とする。

「ねぇ、なんで私がViolentなの?」

「え? そこに食いつくの?」

 二人はポーズを取りながら、下らない会話をするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ