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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第弐拾伍話-対決
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対決-22

 燐と芽衣は朝食を食べ終え、早速、芽衣と慶次が住むマンションへと向かった。

 燐はマンションへ向かう道中、追っ手が居ないか確認する。

 しかし、その様子はなく燐は安堵してマンションに入る。

 そして、慶次と芽衣が住む部屋へと入ると、芽衣はすぐさま荷物の準備に取りかかった。

「お兄さんは命を狙われてるって、言ってたんだよね?」

「あ、うん」

 燐の質問に答える芽衣の作業の手は止まらない。

 芽衣は春夏秋冬全てに対応した服をキャリケース一杯に詰め込んでいく。

「ねぇ、芽衣ちゃん自身はさ命を狙われてるって感じあった?」

「ないよ」

「そうだよね」

 燐の心の奥底にある違和感が気になってしょうがなかった。

「これで、よしっ!」

 パンパンに詰め込まれたキャリケースを閉じると、玄関へ移動する。

「ちょっと、行くのやめない?」

「急にどうしたの?」

 芽衣は突然の提案に戸惑う。

「少し時間を置こう。お兄さんが指定した時間まで、まだ時間もあることだしさ」

 燐は真の理由を言わずに説き伏せると、芽衣も「分かった」と渋々、納得した。

 そして、長四郎と勇仁のスマホにメッセージを送る燐。

 当然、留置場に居る二人はその事を知る由もなく、返事が返ってこないまま時間だけが過ぎていった。

「羅猛さん。そろそろ出ないと間に合わなくなっちゃう」

 慶次に指定された時間まで残り一時間となっていた。

「そうだね。じゃあ、行こうか」

 燐はタクシーの配車アプリでタクシーを呼び、慶次が指定した晴海ふ頭へと向かった。

 程なくして、燐と芽衣は晴海ふ頭に到着した。

 慶次が乗るであろう貿易船が停泊しており、積荷が船に載せられていく。

「ここだよね?」

 燐は芽衣にそう尋ねると「うん」とだけ答え、慶次を探し始める。

「お兄さんからこの場所に来いって、言われなかった?」

 燐は周囲を気にしながら、芽衣に質問する。

「住所が書かれた紙だけ渡された」

「そうだよねー」

 すると、二人に向かって一台のジープが近づいて来るのが見えた。

「芽衣ちゃん」

 燐は芽衣の手を引いて、近くにあった運搬用パレットに身を隠す。

 ジープは二人が隠れているパレットの前で停車し、車の中から武装した男達が降りて来た。

「何? あの人達」

「芽衣ちゃん。声を出さないで」

 燐は芽衣の質問に答えず、武装した男達の様子を伺う。

「Find him!!(訳:奴を探せ)」

 ヤンは部下にそう命じると「Sir!!!(訳:了解)」と部下達は返事をして慶次を探し始める。

「芽衣ちゃん。お兄さんに会うのは、止めておこう」

「どうして?」

「銃持ってる相手だよ。私、一人じゃ守りきれない」

「Please!!(訳:動くな!!)」

 ヤンに見つかった二人。

「Hands Up!!(訳:手を挙げろ)」

 燐と芽衣は大人しくヤンの指示に従う。

 ヤンはサブマシンガンを二人に向けながら、指示を出す。

「Come here!!!(訳:こっちに来い!!!)」

 燐と芽衣はジープの前まで移動させられる。

「Come out!! Detective!!!(訳:出てこい! 探偵!!!)」

 ヤンは大きな声を出して、出て来るように呼び掛ける。

「俺はここだ!!」

 慶次は両手を挙げて、ヤンの前に姿を現した。

「お兄ちゃん!!」

 芽衣が慶次に近づこうとすると、「Don’t move!!(動くんじゃない!!)」ヤンはそう言いながら、威嚇射撃をする。

「芽衣。奴の言う通りに動くんじゃないぞ」

「分かった」芽衣は素直に従う。

「Why are you here?(訳:何故、お前がここに居る?)」

「芽衣と友達を離せ!」

 慶次はヤンを説得しながら、ゆっくりと芽衣と燐に近づく。

「Answer!(答えろ!)」

「何、言ってるか。分からねぇよ!!」

 ヤンに向かってタックルを仕掛ける慶次は二人に「早く逃げろ!!」と告げヤンと揉みあう。

 揉みあいの中、慶次のズボンのポケットからUSBメモリが転げ落ちた。

「今のうちに!!」

 燐は芽衣の手を引いて、その場から逃げようとするが、ヤンの部下に見つかってしまう。

「Shoot!!!(訳:撃て!!!)」

 部下は二人に向かって、サブマシンガンを発砲する。

「うっ!!」

 最悪な事に逃げる芽衣の脇腹に銃弾が撃ち込まれてしまう。

 その場に崩れ落ちる芽衣を庇うように燐が抱きかかえる。

「Go!!(訳:行くぞ!!)」

 ヤンのその一言で、二人に向かって放たれる銃弾は止み、ジープは踵を返してその場から立ち去っていった。

「芽衣ちゃん! 芽衣ちゃん!」

 燐の呼びかけに芽衣は答えることなく、抱きかかえる燐の手が芽衣の血で赤く染まっていくのだった。

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