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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第弐拾伍話-対決
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対決-16

 燐と芽衣が慶次の調査をしていた頃、長四郎と勇仁は長四郎の事務所で、来訪者を待っていた。

「長さん。身体の方は大丈夫?」

 勇仁は長四郎に腰に湿布を貼ってもらいながら、質問する。

「どの口が言うんだよ。お爺さんのくせに一生懸命、動くから」

「いつまで経っても現役って言いたいけど。そうも行かないか」

「そうですよ。先輩。少しは自重してください」

 そう言いながら、事務所に入ってきたのは神奈川県警の虎田守であった。

「守。遅かったじゃないか」

 勇仁はゆっくりと身体を起こしながら、守の手の中にある封筒に目を向ける。

「もう、これに目をつけるあたり変わっていないですね」

「首を長ぁ~くして待ってたんだから。な、長さん」

「俺はそこまで待ってなかったけど。あの、珈琲で良いですか?」

「あ、お構いなく」

 長四郎はそのまま珈琲を入れる準備を始める。

「で、どうだったか聞こうか」

 勇仁はシャツに袖を通しながら、捜査の結果を尋ねる。

「そんなに焦らないでください」

 守は勇仁の対面のソファーに腰を下ろして、持ってきた茶封筒の中から捜査資料を机の上に並べる。

「結論から言いますと、死ぬ直前に金星創業の社員と接触していたことが分かりました」

 勇仁は珈琲を入れる長四郎に目配せすると、長四郎は頷いて守の話に耳を傾ける。

「その社員は特定出来ているのか?」

「それはまだ。ですが、そいつと共に行動していた殺し屋の正体は分かっています」

 守はそう言いながら、資料をめくる。

 そこに写っていたのは、昨晩ナイトクラブで派手に闘ったあの男だった。

「名前は、ヤン・イェン。エグザグラムお抱えの中国人の殺し屋です」

「だから、強かったんだなぁ~」

「先輩。こいつとやりあったんですか!!」

「うん。今、珈琲を入れてる長さんとね」

「彼も!」

 驚く守に「珈琲でぇ~す」と吞気な声を出しながら珈琲を出す長四郎。

「どうも。君、凄いね」

「いえいえ、それほどでも」

「長さん。この男、見覚えない?」

「うん?」

 長四郎は捜査資料に目を向けると「繋がったな」とニヤリと笑う。

「繋がった?」

「守。落ち着いて聞けよ。この社員なんだけど、今現在、行方不明」

「行方不明!」

「それで、勇仁の孫がね。この社員を探しているんです」

「先輩のお孫さんが?」

「正確には、孫のクラスメイトがですけどね」

「クラスメイト」

「そのクラスメイトが行方不明の社員の妹らしいんです」

「ほぉ~」

「守。それで、小岩は殺される前までは横浜で何を?」

「潜伏していたのは、横浜ではなく川崎のドヤ街です。炊き出しに並んでいたのを目撃されています」

「成程」

 長四郎は一人納得しながら、自分が淹れた珈琲を飲む。

「すいません。小岩がドヤ街で何をしていたのかは分かっているんですか?」

「いや、そこまでは捜査していない。というより、捜査を止められた」

 そう言う守の顔は苦々しいものだった。

「止められたかぁ~」

 勇仁はコクコクと頷きながら、思考を巡らせる。

「先輩達が相手にしてるのは、一筋縄ではいかない相手ですよ。政界や経済界と手広く根を張ってます」

「という事は、そう言ったところから攻撃が飛んでくるという訳か」

 勇仁は動じることなく余裕の表情を見せる。

「厄介な相手とやり合う事になればなるほど、ファイトが燃えてくるってものですよ」

「君、この人に感化されたら駄目だよ。ホント」

「守さん。大丈夫です。勇仁よりもっと酷い人物が付き纏ってきますから」

「へぇ~」少し興味深そうにする守。

「人の孫をそんな言い方しなくても良いんじゃない?」

「先輩の孫!! そりゃ、手こずる訳だ」

「どういう意味だよ。守!」

 椅子から身を乗り出して、守に詰め寄る勇仁。

「いや、深い意味とかはないんですよ。先輩」

「勇仁。落ち着けよ」

 長四郎はそう言いながら、勇仁の首根っこを掴み椅子へと引き戻す。

「なんか、すいません」

「いや、いつもの事だから」

「守。お前にしか頼めないことがあるんだけど」

「もうその手は通じないですよ」

「分かった。昔のお前はすぐにでも先輩の為ならと、頼み事を聞いてくれたのに」

 勇仁は残念そうな表情を見せ、頼みを聞いてくれと訴える。

「そんな顔しても駄目。昔は昔。今では、僕にも立場ってものがあるんですから。じゃ、これで失礼します」

 守は足早に長四郎の事務所を去っていった。

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