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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第弐拾肆話-議員
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議員-23

「何で、残るの?」長四郎に説明を求める燐。

「何でって。あっさりしすぎだろ。あれは、素直に自供すると見たな」

「素直って。やっぱり、小岩を庇う為に?」

「庇うというより、前田を殺る為にじゃないか」

「つまりは、フェイントって事?」

「うん、そう」

 長四郎は頷きながら答える。

「じゃ、前田さんの所へ向かった方が良いんじゃない?」

 燐は椅子から立ち上がろうとするのを、長四郎が肩をおさえて椅子に座らされる。

「どうして、止めるの?」

「どうしてって、無暗に動いても意味ないよ。大人しくしていれば時機に奴さんが現れるはずだよ」

「で、でも・・・・・・」

「予算委員会に乗り込んで悪さはしないよ」

「それもそうか」

 納得した燐は、暇つぶしの為にスマホゲームを始める。

 長四郎は、この変わりようの速さに感心するのだった。

 十七時になり、予算委員会は終わった。

 第一委員会室から出てきた前田を出迎える長四郎と燐。

「委員会。お疲れ様でした」

 長四郎がそう声を掛けると「おう」と返す前田。

「ショックなニュースがあります」

「ショックなニュース?」

「塚川さんが西議員殺害容疑で警察へ連行されました」

「何っ!?」

 今すぐ、警視庁に猛抗議したいというような顔をする前田はそそくさと歩いて行く。

「ちょっと、待ってください」

「待つも何も。私の政治生命がかかっているんだ。邪魔しないでくれ」

「そうやって、あんたが動けば犯人の思う壺ですよ」燐に忠告されても無視して歩を進める前田。

 長四郎と燐は仕方ないといった感じで、前田に付いて行く。

「何故、私に付きまとう」

「あんたの命を守る為に決まってるでしょ!!」

 燐は今にも殴りかかりそうな顔をしながら、反論する。

「彼女の言う通りです」

「私が狙われる理由はなんだ!」

「んな事、私が知るか! 悪の卸問屋のオヤジが!!」

「ラモちゃん。それは言いすぎ」

 長四郎が諌めると燐は、「ごめん」と素直に謝る。

「ということですので、ご自宅までは我々が同行させて頂きます」

「勝手にしろ!」

 ご立腹の前田は怒りをぶつけるようにスマホを操作して、誰かに電話する。

「ねぇ、こんな奴守っても意味あるの?」

「あるある。文句垂れてないで、付いて行くぞ。行くぞぉ~」

 長四郎は拳を突き上げて自分を鼓舞しながら、前田の後に続いていく。

 前田は警視庁に向かうのではなく、自宅へと向かった。

 自宅は議員宿舎ではなく、田園調布に建てられた大きな一軒家であった。

 長四郎達を乗せたタクシーが前田宅前で停車する。

 そして、電柱に身を隠して様子を伺う男が一人居た。

「もう、付いてくるな!!」

 前田はタクシーを降りてすぐ、長四郎達に向かって怒鳴りつける。

「こっちも付いて行きたくて来てるんじゃねぇ~し!!!」

 燐が反論すると、「ラモちゃん。どぉどぉ」と言って宥める長四郎はタクシーから降りて辺りを見回す。

 電柱に身を隠した男の姿が見えた瞬間、男は電柱から身を乗り出してこちらに銃を向ける。

「危ねっ!!」

 長四郎はすぐ様、前田を突き飛ばすと同時に拳銃が火を噴いた。

 放たれた弾は前田宅の塀に撃ち込まれ、前田は「ひっ、ひぃ~」となんとも分かりやすい驚き声を出す。

「ラモちゃん。ここを頼む!!」

「分かった」

 長四郎は逃げ出した男を捕まえに行く。

 男は長四郎に向かって拳銃を発砲するが、華麗なステップを踏んで飛んでくる弾を避けていく。

 中々、男と距離が縮まらないので長四郎はジャケットの内ポケットから一枚の板を取り出し手首をスナップさせると板は変形してブーメランへと変わった。

 長四郎はそれを逃げる男に向けて、投げつける。

 綺麗に飛んだブーメランは男の顔面に当たり、男はあまりの痛みにその場に崩れ落ちる。

 長四郎は男に近づき、こう告げた。

「俺から逃げきれた奴は居ない。女を除いて」

 悶絶する男の顔を拝むと、男は小岩ではなかった。

「あらら」と素っ頓狂な声を上げるしかない長四郎だった。

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