結社-17
一川警部と絢巡査長は、裏切り者を炙り出そうと動き始めた。
警視庁の会議室で、室井室長に警視庁内に裏切り者がいる可能性について報告をしていた。
「警視庁に裏切り者が居ると? そんなバカな」
室井室長は絢巡査長からの報告を受けて、眉をひそめる。
「まだ疑いの段階ですけどね」と絢巡査長は補足する。
「ま、頭の片隅に入れておこう」
一川警部と絢巡査長は、「ああ、絶対にこいつ調べないな」と思う二人は室井室長は当てにならないと踏み次の行動に出る事にした。
今度は、村内刑事部長に裏切り者の存在について報告しに行く。
「警視庁内に麻薬組織と繋がっとう人間がおる可能性があります」
一川警部がそう進言すると、村内刑事部長は黙ったまま苦い顔をして回転椅子をくるっと回転させ二人に背を向ける。
「裏切り者の目星はついているのか?」
「いや、まだ」絢巡査長が答えると「全く。目星がついてもいないのに。よく報告したな」嫌味を言うが「分かった。その裏切り者を特定しろ。何か分かり次第、逐一、私に報告すること。良いな?」と尋ねられた二人は「ふぁい!!」と元気よく返事するのだった。
一方、長四郎と燐は桑子に浮気調査の報告をしに、家を訪ねた。
「今度はなんですか?」
桑子は嫌そうな顔で訪問目的を聞いてきた。
「今回は、旦那さんの事件ではなく依頼されていた浮気調査の報告をしに来ました」
「で、探偵さん。内の主人は浮気していたんですか?」
「はい、そうです」そう答えたのは長四郎ではなく燐だった。
「旦那さんは、アシスタントの浮渡布里子さんと浮気していました。本人の証言も取れています」
自分の仕事を奪われた長四郎は退屈そうに燐の報告に耳を傾ける。
「そレデ、彼女が内の主人を殺したんですか?」
「え〜っと、それは・・・・・・・」
燐は困ったと言った顔で長四郎に助けを求める。
「我々は、警察ではないのでそこまでは」
「でも、この前は夫の殺人事件の捜査について尋ねてきたのに」
「あ、そうでしたね。まぁ、僕らも警察からこってり絞られましてね。余計なことをするなってね」
「そうでしょうね。探偵さんが殺人事件の解決をするなんてドラマみたいですからね」
「そうですよねぇ〜」と答えながら、長四郎は愛想笑いを浮かべる。
「ま、浮気していたことが分かっただけでも、良かったです」
「それは何よりです。来た甲斐があった。じゃあ、帰ろうか。ラモちゃん」
長四郎は椅子から立ち上がると、「あ、そうだ。最後にも一つ良いですか?」と質問の許諾を求める。
「どうぞ」
「この前、ホライゾンで頼んでいた荷物の中身を教えてくれませんか? なんか、良さそうなものだったので」
「あっ、ああ、それは柔軟剤です。アメリカ製の物で匂いとか気に入っているんですよ」
「へぇ〜 今度、買ってみよう」
長四郎は見え透いた嘘をつき燐もそれに同調して「私も買ってみよぉ〜」と言い桑子の家を後にした。