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結社-16

「んっ!」

 目を覚ました燐は、自分に掛けられた毛布を剥ぎ、背伸びする。

 スマホで時間を確認すると午後一時を示していた。

「もうこんな時間か」

 燐はソファーから立ち上がると、冷蔵庫に向かい1ℓの紙パックオレンジジュースを直のみする。

 ふぅ~と息を吐き、デリバリーアプリで自分の朝食兼昼食のハンバーガーセットを注文し、メッセージアプリを開き長四郎にメッセージを送る。

「今、どこ?」と。

 しかし、返信は二時間経っても返って来なかった。

 とっくに食事を終えた燐は、自分が昨晩調べた組織に繋がる人物達を調べようと事務所を出ようとドアを開けると、顔を腫らした長四郎と鉢合わせた。

「あー良かった。何もないようで」

「何もないって。その顔どうしたの?」

 安堵する長四郎とは対照的に動揺する燐。

「ああ、ちょっとね。絢ちゃんがもうちょっと早く来てくれればな」

 長四郎は燐の問いにそう答えながら、自分の背後に立つ絢巡査長に目を向ける。

「長さん。助けてもらってそれはないでしょ」

「取り敢えず、ここじゃなんだから。中に入って話さない?」

 燐の提案に大人二人は事務所に入るのだった。

「絢さんに感謝しなさいよ」

 燐は長四郎の顔の傷の手当をする。

「へいへい。痛っ!!」

 燐に消毒液を染み込ませたガーゼを力強く押し当てられた長四郎は、悶絶する。

「それで、その捕まえた男は組織のヒットマンだったんですか?」

「そうなの。そいつが言うにここにも刺客を送り込んだって言うもんだから、大慌てできたの」

「刺客なんて来てませんよ」

「そうみたいで、安心した。ところで、長さん。麻取がラモちゃんの調べた日用品紹介アカウントを運用する主婦のマンションに入っていったのは本当ですか?」

「長四郎。噓つかない」

「インディアンか、お前は」燐のツッコミを無視しして、話を続ける。

「だから、その主婦も組織と繋がっているんじゃないかなっていうのが、俺の考え」

「その主婦を調べるとなると、なんか麻取と手柄の取り合いみたいで嫌ですね」

「絢ちゃん。その心配はないばい」

 一川警部がそう言いながら、事務所に入ってきた。

「麻取は今回の件、喋ってくれたんですか?」

「うん。意外と協力的でびっくりした。あの長さんが調べていた例のタワマンの主婦。あれは仮の姿で、組織の日本支部の幹部らしい。今日、タワマンに行ったのは内偵調査らしいばい」

「成程。SNSを活用するインフルエンサーとして、彼女に近づこうとする者たちの窓口となって、構成員になりそうな人物を選定して、構成員を作っていったっていう訳か」

「長さん、鋭いねぇ~ どうやら、その手法で全国各地に麻薬の流通ルートを築いていったらしいったい。麻取さんも苦労しとるようやったばい」

「厄介な敵ですね」

「ラモちゃん。一番厄介なのは、そこじゃないばい」

「どういう事ですか?」

「麻取と手を組む姿勢を見せるっていうことを考えろよ」長四郎の言葉に少し考えた燐は「あっ、警察内部に組織と繋がっている奴がいるって事か!」と意気揚々と発言する。

「その通ぉ~り!」

 長四郎、一川警部、絢巡査長はパチパチと拍手するのだった。

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