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異人-9

 次に入ったのは書斎として使っているだろう部屋で、道前が仕事をこなしていた事が伺えるような部屋となっていた。

 長四郎は机の上に置いてある資料を手に取り、目を通し始める。

 その資料は、道前宗介役員退任の草案資料であった。

 長四郎は道前が生前にこの資料を取り寄せ、何かしらの策を講ずる準備をしていたことが読み取れた。

 そして、資料にマークしてあった該当の人物達の説得にあったっていたのがデスク上のスタンドカレンダーに書いてあった。

 そんな事を発見する長四郎の元に意気揚々の燐が、書斎に部屋に入ってきた。

「私、凄い発見したかも!!」

「何を発見したの?」

 冷静に長四郎が尋ねると鼻息を荒くした燐は、ウォークインクローゼットで見つけたであろう1冊の日記を持って見せ、それを手渡された長四郎は日記を開く。

「このページ!」燐は自分が見つけたページを開いて見せる。

「ん!」

 長四郎はそこに記載されていたことは、道前が傭兵時代に暗殺した要人のリストが書かれていた。

「私の推理だと、ここに書かれている人たちの家族が殺し屋雇って殺したんだと思う」

「ぷっ!」思いもよらぬ推理に長四郎は吹き出してしまう。

「何? 私の推理が間違っているわけ?」

「いや、その可能性を見逃してたなぁ~と思って」

「でっしょぉ~」

「でっしょぉ~って。まぁ、ラモちゃんな割には目の付け所としては悪くない部類かな」

「なんか、褒められている気がしないんだけど」

「褒めてないもん」

 言ってはいけない事を自覚した長四郎は咄嗟に自分の口を抑え反省するのだが、時すでに遅し、燐の怒りは爆発寸前ぅ~状態。

「いや、褒めてますよ。はい。褒めてます」

「フォローになってない!」

 燐は長四郎の足の甲を思い切り踏みつける。

「ぎゃあ~!!!」

 書斎から長四郎の悲鳴が聞こえたので、一川警部と絢巡査長は慌てて駆けつける。

 そこにある光景は、長四郎が痛みに悶絶しながら身体を丸めて床に伏せるのを燐が足で踏みつけているというものであった。

「2人共、なんばしよっとか!!」一川警部の怒号が書斎に響き渡った。


「あ~あ、追い出されちゃった」

 道前のタワーマンションから追い出された長四郎がつまらなそうに燐に言った。

「あんたが悪いんでしょ。余計な事言うから」

「俺、今年で29だぜ。大人に怒られたのって久しぶりだし、絢ちゃんがあんなに怒るとは思わなかったもん。年下に怒られるって結構堪えるぜぇ~」

「知らないよ。そんな事」

 ここで読者の皆様に「なんばしよっとか!!」の後、何が起きたのか軽ぅ~く説明しよう。

 一川警部の怒号を受け燐がはっと我に返ると、絢巡査長は顔を真っ赤にして「正座!!」の掛け声と共に長四郎と燐は素直に正座し、それから約2時間の説教を受け反省の意味を込めてマンションから追い出され今に至るのだった。

「それで、あんたは何か見つけたの?」

「いいや、何も」

「ダメじゃん」

「ダメだねぇ~でも、気になることはあるから。明日、道前が勤めていた会社に行こう」

「え! 私が見つけたアレは?」

「アレはまた今度」

 長四郎はそれだけ燐に告げると、絢巡査長に怒られたのが余程答えのか。今までに見せたことのない老け顔になり足早に事務所兼自宅へと帰宅するのだった。

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