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異人-3

「すいません。この人、知っていませんか?」

 ミシェルは、道すがらの通行人に尋ねる。

「知りません」

 ミシェルが見せる写真に目を合わせず、素っ気ない返答だけし、去っていった。

「話と違う。日本人は親切じゃないの?」

 そう言いながら、悔しそうな表情を浮かべたミシェルは空を見上げる。

 道前宗介が今、日本の東京、豊島区を拠点に活動している事を突き止めていたミシェル。

 バウンティハンターとして指名手配犯を探すのはお手の物なのだが、見知らぬ未開の地で1人の人間を探すのは困難であった。

「ここじゃ、ダメなようね。場所を変えましょう」

 ミシェルが聞き込み場所を変えようと歩き出したその時、「場所を変えても、意味ないと思うよ。ミシェルさん」そう声を掛けられた。

 振り向くと、そこには長四郎が立っていた。

「どうしてここに?」

「いや、ネットサーフィンをしていたら、豊島の方で外国人女性が健気に人探しをしているってトレンドに上がっていたから」

 長四郎はここへ来た理由を説明しながら、Twitterの日本トレンドをミシェルに見せた。

「そういう事。それで、冷やかしに来たの?」

「滅相もない。手伝えっていうお達しがあって」

「お達し?」

「そ。昨日、ミシェルさんが連れて来た女子高生がこのトレンドを見て、「ミシェルさんを手伝え」と依頼してきたので」

「でも、昨日は私の依頼は断ったのに、どうして彼女の依頼は受けるの? 差別?」

「そうじゃないの。この依頼を断ると、何されるか分からないので引き受けるしかないんだよ」と長四郎は恐怖からくる身震いをしながら答えた。

「ふ~ん」

 ミシェルはモヤモヤしながら、取り敢えず長四郎の言葉に納得することにした。

「それで、これ」

 長四郎はスマホの写真をミシェルに見せた。

 そこに写っていたのは、道前の近影の写真であった。

「道前!?」

「驚いてくれて何より。こいつは今、ここから10分程歩いた先の会社に奴は勤めていた」

「流石、名探偵ね。彼女の言う通りだわ」

「彼女?」

「私のBest Friendから聞いたのよ」

「Best Friendね~」

「こんな話をしている場合じゃない。さ、道前の元に行きましょう」

 そう長四郎に言い放ったミシェルは、1人歩き出した。

「あ、そっちじゃないぞ。反対。反対」

 長四郎にそう言われたミシェルは踵を返し、長四郎の指差す方向に歩を進めていくのであった。

「ねぇ、リンとはどういう関係なの?」

 道前の勤務先に向かいながら、ミシェルは質問した。

「依頼人と依頼を受けた探偵の関係。だけど、依頼人としては最低な部類だけど」

「そうなんだ」

「ああ、俺が仕入れた道前の現在の情報を知りたい?」

「ええ」

「道前は会社役員として、ベンガンサっていう商社に勤めている」

「会社役員」

「そう。いきさつは分からないが、アメリカから帰国してからすぐにこの会社に入社したとこまでは分かった」

「昨日の今日で良く調べたわね」

「Facebookに書かれていたから。バウンティハンターなのにチェックしなかなったの?」

「私、話すのは得意なんだけど、読み書きがてんでダメなの」

「なるへそ。さ、着いたぞ」

 長四郎はベンガンサが入っている商業ビルの前で立ち止まり、ビルを見上げた。

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