表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
220/758

希望-3

 元日の羽田空港は旅行客で溢れかえっており、こんな所でバイオテロを起こされてはひとたまりもないと長四郎、燐、一川警部、絢巡査長の4人全員が思った。

「どうします? 不審物でも探しますか?」

「そうね。長さんは取り敢えず、不審物を探して。絢ちゃんも一緒に。あたしは、空港警察の事務所に行って説明をするけん」

『分かりました』三重唱で返事した残りの3人はすぐさま、不審物の捜索に当たった。

 勢い良く捜索に出たまでは良かった。

 だが、素人の目に不審物を見分ける能力もなくただあてもなく空港内を歩いているだけであった。

「ないねぇ~」燐が長四郎に話しかける。

「そだね~」

 素っ気ない返事をする長四郎の脛に、燐は蹴りをお見舞いする。

「痛っ!!!」

 突然、大きい声を上げられたので周りを歩いている旅行客が驚いていると、目の前のプランターに身体を突っ込んでいる変な奴が居た。

 その変な奴は慌てて体を引き起こすと、周囲をきょろきょろと見回して足早にその場から去っていった。

 燐はその様子を見て、怪しいと思い男が身体を突っ込んでいたプランターに顔を覗かせる。

 そこには、銀色の円柱が置かれていた。

「何、これ?」

 燐が円柱に触れようとした時、「触るな!!」と長四郎が大声を出して止める。

「ホント、警戒心ってものがないんだから」そう言って円柱を確認する長四郎。

「これ、何だと思う?」

「それこそウイル入りの爆弾じゃない?」

「ば、爆弾!?」

 燐が素っ頓狂な声を上げたので、長四郎は咄嗟に燐の口元を抑えて何とか誤魔化そうとする。

「大きな声、出すなよ」

「それはあんたもでしょ。これ、どうする」燐は長四郎の手を払いのけながら、反論した。

「取り敢えず、絢ちゃん呼ぼう」

 それからすぐ空港警察の制服警官を連れ立って、絢巡査長が長四郎達の元へ駆け付けた。「これが例の不審物?」

「はい」

 絢巡査長の質問に燐が答えた。

「お巡りさん方、適当な事言って周辺に人を近づけないようにしてください」

「分かりました」

 長四郎の指示を受けた制服警官達はすぐさま、行動に移した。

「どうします? 長さん」絢巡査長にそう尋ねられた長四郎は周辺を見回しながらぶつぶつと呟く。

「答えなさいよ!」

 燐はそう言って、長四郎の背中を蹴飛ばす。

「ホントに新年早々から容赦ないね。痛ってぇ~」長四郎は涙目で背中を擦る。

「長さん。もしかして、防犯カメラでこれを置いた人物が追えるか。考えています?」

「Exactly! 正解だ」

「じゃあ、防犯カメラの方を追ってもらいます」

 絢巡査長は一川警部に防犯カメラでの追跡を無線で依頼した。

「もしかしてだけど、これ以外にも仕掛けられているのかな」

 燐が何気なく言うと「ラモちゃんにしては鋭いじゃない」長四郎はそう言って褒める。

「どうも」

「他にもあるとしたら、組織で動いているかもな」

「組織って?」

「例のバッジを紋章とする組織」

 長四郎はそう答えて、最初の事件現場で採取したバッジを見る。

「その通りだ。名探偵」

 声をした方を振り返ると、組織について何かを知っていそうな男が2人立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ