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GW-1

 話は15時間前に遡る。

 燐はゴールデンウイークを利用して、流行りのホカンスのツアーに参加するため東京駅の八重洲口に居た。

 読者の皆様にホカンスとは何ぞやという質問に答えよう。

 ホカンスとはホテルに泊まり、ホテルから見える景観やバーやレストラン等のホテルにある施設を利用し、バカンス気分を味わうといった新たなバカンスとのことだ。

 近年、流行りつつあるコンテンツでもあるらしい。

 では、本編に戻ろう。

 SNSで知り合った友人と八重洲口で落ち合う予定なので該当する人物を探し始める。

 目印は、青色の肩だしニットに腰にグッチのバンダナを巻いているとの事らしい。

 少しあたりを見回すと、直ぐに分かったので声を掛ける。

「あの、風原(かざはら)さんですか?」

「まぁねぇ~」

 風原 行美(かざはら いくみ)は髪をかき上げながら燐の問いに答える。

「宜しくお願いします」燐は頭を下げる。

「そう硬くならないでよ。宜しくね」

 行美は燐にウインクする。

「ごめ~ん!! 待った?」

 そう言いながら、ストライプ柄のブラウスにピスタチオワイドパンツで身を包んだおしゃれな女性が駆け寄って来る。

 この女性・中尾 襟(なかお えり)もまたSNSを通じて知り合った友人である。

「大丈夫ですよ。私も来たばっかりなんで。

あ、申し遅れました。羅猛燐です。宜しくお願い致します」

「中尾です。宜しく」

 襟は簡単に挨拶をする。

「バスに間に合わなくなるから行こう」

 行美に促され3人は、八重洲口のバス停に向かうと「新大久保で韓国気分を味わおう!! ホカンスツアー」と書かれた観光バスが止まっており数人の客が受付をしていた。

「予約していた羅猛です」

「風原です」

「中尾です」

受付をしているツアーガイドに立て続けに自分達の名前を言う。

「羅猛さん,風原さん,中尾さんですね。はい、確認しました。

これをどうぞ。左手首に巻いてください」」

 ツアーガイドの個亜田 広子(つあだ ひろこ)は、ツアー参加者を識別するためのバンドを渡す。

『は~い』

 左手首にバンドを巻いてバスに乗車する。

 燐達は三人客の為、行美と襟は二人掛けで座り、燐は二人掛けシートに一人で座った。

 他の客はペアの客ばかりで、余りになるのは燐だけであった。

「では、人数が揃いましたので出発しますね」

 個亜田が出発の宣言をすると、バスは新大久保に向けて走り出した。

「ねぇ、これ食べる?」

 襟は席から身を乗り出して、じゃがりこサラダ味を差し出して来る。

「頂きます」

 燐は1本だけ取り食べる。

「ねぇ、どこ回るか決めてる?」

 今度は行美が燐に質問してくる。

「それが迷ってて」

「そうよね」と襟。

「取り敢えず、食べ歩きしない?」

「いいですね!」

 行美の提案に食いつく。

「え~太っちゃうよ。でも、アリね」

 襟は不満を言いつつも賛成する。

 バスが信号待ちになった時、個亜田が燐に話しかけてくる。

「あの羅猛さんは未成年者ですよね?」

「はい」

「実は他のお客様は成人なので、バーでの飲み放題プランがご利用できないんですよ」

「え? ノンアルコールのカクテルとか飲めないんですか!?」

 未成年でも利用できると思って。今回のツアーに応募した燐は動揺してしまう。

「すいません。ホテルの規定で未成年者はバーを利用できない決まりになってまして・・・・・・」

「そうなんですか」

「そこで、羅猛さんにはエステプランをワンランク上の物しております」

「えっ!? 良いんですか?」

「大丈夫です」

 個亜田はサムズアップする。

「じゃあ、それでお願いします」

 燐は個亜田に礼を言い、個亜田は自分の座席に戻って行った。

「未成年ってのも悪くないね」

 襟がすぐさま、話しかけてくる。

「ホント、ホント」

 行美も襟の意見に同意する。

「いやぁ~それほどでもぉ~」謙遜する燐。

バスは新大久保の街に着き燐達は、食べ歩きに繰り出すのであった。



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