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第11話 異常事態発生!

 バーチャライブが【兎野レオ】のYooTubeチャンネルとトリッターのアカウントを開設した日から6日目の朝。

 千冬さんがもの凄いテンションで慌てながらスマホの画面を見せてくる。


「これ見て! 異常だよ!」


 千冬さんのスマホの画面を見てみると、そこには【兎野レオ】のYooTubeチャンネルが表示されていた。もちろん、まだデビュー前なのでチャンネルがあるだけで何も投稿はされていないのだが。


 そう。何も投稿されていない。


 されていない……のに!

 【兎野レオ】のチャンネル登録者数は、すでに10万人を突破していた。


「え!?!?!?」


 俺は困惑していた。

 千冬さんも俺と同じく困惑しているようだった。聞いたところによると、バーチャライブだけでなくVtuber史上前代未聞のことなのだそう。


 まだチャンネルを開設しただけなのに……何も投稿していないのに……なんでっ!?


「じゅ、じゅ、10万人って、ええっ?! 普通はデビューしてから1ヶ月で達成しても早いくらいの数字じゃないんですか!?」


 そうなのだ。

 10万人登録者というのは、Vtuberがデビューして最初に掲げる目標だろう。それなのに、俺はそれをデビュー前に達成してしまったのか……?


 まだ、夢なんじゃないかと思って、自分の頬を思い切りつねっても、ただ痛みを感じるだけで夢から目が覚めない。つまりは、現実。


 マジか……

 夢みたいな現実だぁ。


 恐らくデビュー前にも関わらずこの数字を獲得できたのは、兎野ウサの弟と公表されているからで間違いないだろう。それは、わかっている。でも、いくら何でも10万人は多すぎでは???


「葵くん……歴史的快挙だよ!」


「はい……俺もビックリしてます。腰を抜かしてしまいそうです。これも、千冬さん――【兎野ウサ】の人気があってこそですよ!」


「確かにそれも少しは関係あるのかもしれないけど、これはね、みんなが葵くん――【兎野レオ】に期待しているからだと思うよ。だから、デビューしたら頑張ろうね! 私も手伝うから、ね!」


「ありがとう! 俺もみんなの期待に応えられるように頑張るよ!」


「あー、でも、もう1個ビックリすることがあるんだよねぇ……」


「?」


 千冬さんはカタカタとスマホを弄り、トリッターの【兎野レオ】のアカウントを表示させた。



 え……?


 こっちもですか?


 トリッターのアカウントのフォロワー数もすでに5万人を超えていた。


「え、トリッターもこんなに増えてたんですか?!」


「うん、凄すぎるよ」


「うぅ、理解が追い付かないよ……」


「だよね、私も」


 俺と千冬さんは2人でしばらくの間、放心状態になっていた。

 誰でも、俺たちと同じ経験をしたらこうなってしまうと思う。


「私、一応バーチャライブに連絡してみる。多分、もう知ってると思うけど……って、ん? 葵くん、メール見てみて!」


 千冬さんが何かに気づき、俺にメールを見るように言った。

 俺は言われた通りに、千冬さんに借りているPCの電源を起動し、メール受信ボックスを開いた。


 すると、そこには、バーチャライブからのメールが届いていた。


『1週間後、午後7時より【兎野レオ】のデビュー配信を行いますので、準備の方をよろしくお願いします』


 こう書かれていた。


「これってつまり……」


「うん。葵くん、デビュー日、決まったね」


「1週間後かぁ……って、早っ! まだ、心の準備が」


「大丈夫だよ。私も手伝うって言ったでしょ? デビューの配信の途中で私も配信に出てほしいんだって。バーチャライブからメールで来てた。だから、最初は1人で配信を始めることにはなるけど、途中からは私もいるから安心してね!」


「あ、そうなんだね! それなら、安心」


「ウサ姉って呼ぶこと、忘れずにね! 私は、レオくんって呼ぶね!」


「うん、わかった!」




 その後、バーチャライブから【兎野レオ】に関する設定などが送られてきていたが、【兎野レオ】は、夏野葵をもとに作られているので、ほとんど俺と同じだった。

 なので、その辺はあまり気にする必要ないと思う。


 急にデビュー配信が決まったときは、どうなるかと思ったが、千冬さんと一緒にできるなら良かった。

 

『がんばろう!』


 俺は、そう心の中で呟いた。




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