表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/161

小碓武VS浄御原和博 フライ級とヘビー級の対決①

「武っチ! あんがと!」


 救われた流麗ちゃんは喜色満面の笑みを浮かべながら礼を言った。


「コイツは俺に任せろ! 流麗は他の敵に邪魔されない様にしてくれ!」


「うん! 分かったよ!」


 流麗ちゃんは武先輩に対して全幅の信頼を寄せているのか?

 直ぐに立ち上がると、武先輩の背後に回った。


「何だこのチビ? 彼女の前だからって格好つけてーのか?」


「いや……彼女じゃな……」


「そーなんだあ! 武っチ、やっぱり、あーしと付き合ってくれる気になったんだ!」


 多分「彼女じゃない」と否定しようとした武先輩の声をキラキラと目を輝かせた流麗ちゃんが遮った。


「……そんな場合じゃないだろ? それよりか、ちゃんと俺の背を守ってくれよな?」


「オッケ~さっさと終わらせて後でデートしようね♪」


 こんなタイミングで何を見せつけられているんだろうか?


 今蹴られたばかりの流麗ちゃんだけど、浄御原の勘違いが余程嬉しかったのか?


 ダメージなんか無かったみたいに元気よく手近な敵に向かって行った。


 恐れるどころか、あたかも恋人の様な雰囲気を見せつけている二人の様子を見て、浄御原はブチ切れていた。


「舐めてんじゃねーぞコラ!」


 浄御原は膝を体側にカイ込み、スナップを効かせた中段廻し蹴りを放つと、武先輩は左足の踵を上げ、爪先を地面に向けると左足膝と左肘をつけたヨック・バンと呼ばれるムエタイのガードで蹴りをしっかりとカットした。


 空手の蹴りは同じ軌道で膝をカイ込む為、上・中・下段の見分けが難しいけれど、ヨック・バンならばどこから廻し蹴りが来ても完璧にガードする事が可能だ。


 タックルがある総合格闘技においては片足立ちになる事でリスクを伴うけれど、立ち技格闘技で使いこなせばこれ程便利な防御技術は無いかも知れない。


 しかも、カットされた方は足にダメージがあり、下手すれば骨折する場合もある。

 如何に体重差があっても膝を脛や足の甲で打ち砕く事は出来ないのだ。


「つうっ!」


 顔を顰めた浄御原が真っすぐ下がると、武先輩は体を捻り、やや上体を屈むと、両足で瞬時にパンチの間合いに飛び込んで拳を横からの軌道で巻き込むようにして勢いよく振り抜くと顔面にクリーンヒットした。


「がっ!」


 武先輩がベースとするキックボクシングやボクシングの打ち方と言うよりか、離れた距離から飛び込む総合格闘技で使われる様なフックで、至近距離での戦いが主なフルコンタクト空手出身の浄御原からすれば、経験した事の無い距離から慣れない顔面への左フックが飛んできたのだろう。


 もし、浄御原が経験していたのが伝統派空手であれば躱せたかもしれないが、フルコンタクト空手では未知のパンチに反応も出来ずまともに喰らってしまったようだ。


 武先輩の左フックで浄御原は少しよろめいたけれど、武先輩の攻撃はこれで終わらない。


 左フックから体を戻す反動を利用し、摺り上げる様にして右のローキックを太腿に叩き込む、所謂対角線上のコンビネーションを鮮やかに決めると、弾丸の様な強烈なワンツーのストレートで浄御原の顎を跳ね上げた。


 対角線上のコンビネーションで上下左右、なるべく離れた位置に攻撃を分散して、外側に意識を散らしてから内側に攻撃する事で、相手に攻撃を読ませづらく、効かせやすい打撃になるのだ。


「クソっ!」


 当然、浄御原もやられっぱなしではなく、鋭い順突きを返してきたが、ディフェンス能力が高い武先輩は上体を反らせて攻撃を躱しながら、足を刈りこむ様なカーフキックで浄御原の脹脛を蹴ると、巨体が泳いだ。


 成程。例え体重差があろうと筋肉が薄い脹脛ならばダメージは与えやすいだろう。


 だから体重差がある相手にはアウトローキック等よりカーフキックが有効そうだ。


 体勢を崩しかけながらも浄御原は逆突きを返してきたが、不安定な体勢から放たれた突きなど当たるはずも無く、頭を振りヘッドスリップしながら力強く放たれたカウンターの右スウィングが浄御原の鼻面を打ち抜くと、浄御原の体は大きくグラついた。


 キックやボクシングではフライ級が適正体重の武先輩のパンチが、ヘビー級の体重にあたる浄御原に大ダメージを与えたのは信じがたい出来事だった。


「テメェ……絶対に殺してやる……」


 浄御原はそんな強がりを言っていたが、垂れた鼻血が地面をポタポタと濡らした。


 でも、負傷しても尚、浄御原の異様にギラついた眼光はまだ闘志を失っておらず、寧ろ益々闘争心を剝き出しにして前に出てきた。

 久々にK-1観ました。山内選手引退試合お疲れさまです。個人的に思い入れが強い全日本キックの時代から活躍している選手がまだご活躍なさっていて嬉しかったです。煽り映像といい、所々に見られる城戸選手の心遣いにも感動しました。


 野杁選手は圧倒的ですね。打撃もそうですが安保選手の強打を凌いだ防御が完璧でしたね。安保選手の胴回し回転蹴りを防いだ後、完全にブチ切れて様子を見る冷静な戦い方から弱点を突いて徹底的に潰す様な戦い方に豹変した時は観てるこちらも怖くなるぐらいの強さでした。


 安保選手か野杁選手が朝倉未来選手とキックルールで試合してくれる太っ腹なイベント企画してくれませんかね。。。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ