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イリュージョンライト~伝説覚醒~ヤンキー女子高生の下僕は〇〇になりました  作者: 麗玲
第2章 ヤンキー女子高生の下僕はNEO麗のメンバーにさせられました
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交機からの逃走

「ところで麗衣ちゃん。如何してこんなところであーし達が喧嘩してるって分かったの?」


 立国川市内で喧嘩しているならとにかく、何故こんな場所で喧嘩するのを知ったのか、流麗は当然の疑問を抱いた。


「そりゃあ、武に予め聞いていたからに決まってるだろ。場所と日時は事前に聞いていたから準備して、お前等がここに向かう前に武に連絡させて、バレない様に、時間差で到着する様に調整したんだよ」


「武っチ。麗のスパイだったの?」


 流麗は麗衣の力を借りる事を渋っていた位なので、その口調には少し怒気がはらんでいた。


「待て待て。武に流麗達に何かあったら連絡しろって命令したのはあたしなんだよ。武はあたしの言う事を聞いただけだ」


「……そうだろうね。それにあーし達だけじゃ、どの道勝てなかったから、ナイス判断だったよね」


 流麗は麗衣と俺に向かって頭を下げた。


「流麗ちゃん。武っチ。助けてくれてありがとう! あと迷惑かけて御免ね!」


 真摯に謝る流麗の頭を軽く小突くと、麗衣は揶揄からかう様に言った。


「バーカ。お前の軽い頭何て下げられても大して嬉しくねーよ」


「むぅ……ひどぃなぁ……あーしなりに反省してるのにぃ~」


「ハハハっ。まぁ、あたしは如何でも良いけどよぉ、美鈴ちゃんや玖珠薇、それに赤銅達にも礼を言っとけ」


「うっ……うん。分かった」


 流石の流麗も教師である美鈴先生や危うくターゲットにするところだった鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードの亮磨先輩に対しては気後れする様だ。


「でも、亮磨先輩や音夢先輩、環先輩達が助けに来てくれるなんて聞いてなかったから俺も驚いたよ」


 俺は麗のメンバーが助けに来てくれる事は知っていたけれど、これ程多数の助っ人が来てくれる事は想定外だった。


「ワリィな。こんな辺鄙な場所にある旧校舎で喧嘩するって言う位だから、今までにない規模の敵が待ち伏せているんじゃないかって予測していたし、赤銅の仲間から首師高校ひとごのかみこうこうの連中の動きもある程度情報が入って来てたからな」


「流石にメンバー五人じゃ情報収集力で負けるよねぇ……」


 流麗は溜息を吐いた。


 麗は喧嘩でのし上るだけでなく、亮磨先輩を通じ、地元のヤンキー達との繋がりを得る事を通して、ある程度情報ネットワークも構築できたが、不良が全て敵であるというNEO麗にはそういった人的な繋がりを築こうにも築けないのだ。


「そう言えば、この後、邊琉是舞舞ベルゼブブ飛詫露斗アスタロトも援軍に来るって話だったけど、まだ来ないね?」


「ああ。アレは澪が考えた作戦で嘘っぱちだ」


「え? でも、旗持っていた人いたじゃん。アレ、邊琉是舞舞ベルゼブブ飛詫露斗アスタロトの奴じゃないの?」


「んな訳ねーだろ。前アイツ等を潰した時に奪った旗を持ち出しただけだ。旗持してたのは鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードのメンバーだぜ」


 そう言えば、アイツ等を潰した後、族にとっちゃ魂ともいえる旗を奪ってたな。

 まさかこんな事で役に立つとは思わなかったけど。


「信憑性出すために鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードの到着を遅らせたり、二つの隊に別けて敢えて続々と援軍が増えていくような芝居を打ったけど、実は最後の十人が打ち止めだったわけよ。まぁ、アイツ等が想像以上のチキンだったから上手く行ったけどな」


 人数的にはまだ三十五対百だったので、首師高校ひとごのかみこうこうの連中が踏みとどまっていれば、こちらが敗北していた可能性も高い。


 だが、援軍を分散させて少しずつ人数を増やす事でアイツ等も信じてしまったという事だ。


「成程ね……」


 俺が感心しているとパトカーのサイレンが遠くから鳴り響いてきた。


「オイオイマジかよ。何でもこんな場所に交機なんぞ来やがるんだ? 民家もあまりないだろ?」


「とにかく、このままじゃヤバイな。澪! 撮影終わったか!」


 何の撮影か、聞くまでもあるまい。


「オッケーっス! バッチリ恥ずかしい動画を撮りました!」


「おし! じゃあ、こんな場所サッサとおさらばすんぞ!」


 麗衣が手早く命じている間に坂道を見下ろすと五、六台のパトカーが迫っていた。


「ヤバいぞ! 早く裏門から逃げろ!」


「オウ! テメーラさっさとずらかるぞ!」


 亮磨先輩の指示で、鮮血塗之赤道ブラッディ・レッド・ロードのメンバーはバイクに飛び乗り、手早くエンジンをかけると、次々と裏門から脱出していった。


「武さん! 私達も脱出しましょう!」


 バイクのエンジンをかけた火受美は俺をバイクの後ろに乗る様に促すが、俺は校庭に落ちているある物を見つけ、火受美に対して首を振った。


「いや、先に逃げてくれ」


「如何してですか!」


「説明している暇は無い。行ってくれ!」


 そうこうしている内に、パトカーはついに校門の前に到着した。

 幸い、柵で閉鎖された校門はパトカーが通過するには狭すぎるので、パトカーから降りてこちらに向かって来た。


「早く行け!」


 躊躇する火受美を促すと、俺は落ちていたある物に向かい走ると、警官もこちらに向かって走って来た。

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