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イリュージョンライト~伝説覚醒~ヤンキー女子高生の下僕は〇〇になりました  作者: 麗玲
第1章 ヤンキー女子高生の下僕は生きて二年生に進級出来ました。
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草薙神子VS朝来名益城(1) ローキックに圧倒されている?

「オイオイ……『NEO麗』って何じゃそりゃ?」


「えっと、最後にコイツを潰すんで、少しだけ待ってもらえますか? 直ぐに終わると思うので」


 麗衣のみならず、俺も『NEO麗』とやらについては詳しく聞きたかったが、眼前でタイマンを行われている現状では説明も出来ないだろう。


 俺達が来た事に気付いたのだろうか?


 横目で俺達の姿を確認すると、神子は口元を釣り上げながら朝来名に言った。


「いつの間にか賑やかになっているけれど……どうやらアンタの仲間は一人も居ないみたいね?」


「ちっ! 雑魚どもが使えねーな……でも、俺がテメーラ全員血祭りに上げりゃいいんだよ!」


 朝来名は孤立無援な状態になりながらもまだ虚勢を張る辺り、曲がりなりにも番長を名乗っているだけあった。


「呆れた……この状況でまだ私達の実力も分からないのかしら?」


「ハッ! 所詮は女とチビの集まりじゃねーか! 総合やっている俺の敵じゃねえ!」


 朝来名は左手と左足を前に出し、半身の姿勢になり、足幅を骨盤より半足程開くと、顎を引き、膝をやや曲げて腰を落とし気味に構えた。


 自分の肩よりも前の手を高く構え、肘を真下に向ける事により重心を下にしっかり下げている構えは総合格闘技でよく見られる基本的な構えだった。


「フーン……貴方、総合やっているんだ。丁度良いわね」


 すると、神子は朝来名と全く同じような総合格闘技の構えを取ったが、朝来名との決定的な違いは彼女が右手を前に出したサウスポースタイルである事か。


「もしかして、総合の使い手同士かな?」


 総合格闘技の使い手である恵は興味深そうに言った。


「んーっと、神子は一寸違うよ。MMAの経験もあるから敢えてあの構えだけどねぇ」


 恵の発言を聞いていたのか?


 流麗は即座に否定した。


「じゃあ、キックボクサーなのかな? 一寸重心が低いけど」


 目撃者によれば不良狩りをしていた三人が使うのはそれぞれ、ボクシング、キック、拳法と言っていた。


 俺も先日見た様に、流麗はボクシングを使うし、拳法とは恐らく姫野先輩や環先輩の妹である事から、姉たちと同じく火受美が日本拳法の使い手である事は推測できる。

 ならば、この神子という少女がキックボクサーである可能性が高いが―


「ぶっぶー! キックと似てる系だけど、一寸違うってカンジ? まぁ見ててよ」


 クイズ番組の不正解時に鳴るブザーの様な音を真似ると、可笑し気に流麗は答えた。


 確かに、見ていれば何を使うかすぐに分かると言うものだ。


「行くぜ! 死ねや!」


 朝来名は距離を詰めると腰のキレを活かした真っすぐ腕を伸ばす左ジャブで神子を突くと、神子は顔一つ分程度顔を左に動かし、上体だけのスリッピングで見事にパンチを躱すと、続け様に放たれた右ストレートを今度は顔を右に動かし、紙一重で躱す。


 頭部を腰部の左右幅からはみださない程度の動きで躱している、見事なディフェンスだ。


 だが、相手は総合格闘技の使い手。


 武器はパンチだけではない。


「うりゃあっ!」


 朝来名は腰のターンと軸足の回転を利用して、蹴り足を直線的に、足の甲を真っすぐ前に放り出すようにしてローキックを放ち、神子の太腿に叩きつけた。


「おらあっ! 如何した!」


 立て続けに朝来名が神子の太腿に2発、3発とローキックを叩きつけ、朝来名の重そうなローキックの前に神子は完全に足止めされ、反撃のしようも無い様に見える。


「ヤバイ! 止めようよ! ウチのメンバーじゃあるまいし、やっぱり女子が男子の格闘技の使い手には勝てないでしょ!」


 俺が率直な感想を漏らすと、流麗は俺に指摘した。

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