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イリュージョンライト~伝説覚醒~ヤンキー女子高生の下僕は〇〇になりました  作者: 麗玲
第1章 ヤンキー女子高生の下僕は生きて二年生に進級出来ました。
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喧嘩の聖地には先客が居ました

 立国川高校から五分程歩き、橋を越えた場所に六森という雑木林がある。


 林の中にはアスレチックやトイレも設置されており、本来子供の遊び場であるのだが、林の中は日が差さず、墓地が隣接し、人が近寄りがたい場所である為、不良達の溜まり場となっており、地元では喧嘩の聖地などと呼ばれている。


 半年も前の俺であれば怖くて近付こうとも思わなかった場所であるが、つい最近、退学した同級生であり俺を苛めていた棟田ともタイマンを張った場所でもある。


 俺達麗二年生組はそれぞれオープンフィンガーグローブや拳サポーターを装着し、六森へ向かうと、校門で澪達麗の一年生組が待って居た。


「待ってください。話は伺いましたよ。まさか俺達を置いてくつもりだったんですか? 先輩方?」


 腕を組んでいる澪はニヤニヤしながら俺達に言った。


「そんな事ねーけど、珍走ですらない半端者連中だ。あたしらだけで充分だろ?」


「つれないなぁ……何時ものパターンだとどうせ人数がさっき以上に増えているでしょうし、手駒は少しでも多い方が良いでしょ?」


「バカ! テメーラを手駒だなんて思った事は一度もねえよ」


「カッコいいスネ。でも、折角同じ高校なんだし、俺達の事も頼ってくださいよ」


「てゆーか、本音はテメーが暴れてぇだけだろうが……」


「アレ、バレましたか? あははははっ!」


 麗衣は女とは思えない思考の澪に対して呆れたように溜息を吐いた。


「……ったく、気持ちは嬉しいけどよぉ、万が一先公どもにバレて、あたしだけじゃなくて全員停学に成ったらどうすんだよ?」


「その時は一連托生です! こんな時の為に皆頑張って格闘技の訓練をしているんですから!」


 一年生組のもう一人のリーダー格、香織は強い口調で言うと、麗衣は再び溜息を吐きながら承諾した。


「はぁ……仕方ねーなぁ、なるべくタイマンで済ませる気だけどよぉ、もし集団戦になったら何時もみたいに頼りにしているぜ」


「「「「ハイ!」」」」


 頼もしい一年生組達は元気よく答えた。



 ◇



「オイオイ……こりゃあ、如何いう事だ?」


 七森に入ると、十人程の男達が地面に突っ伏している惨状に目を見張った。


「この人達、さっき学校に来ていた首師高校ひとごのかみこうこうの連中だよね?」


「ええ。この品性の欠片も無さそうな顔の連中は間違いないわね」


 恵と勝子は倒れて失神している一人の男の襟首を掴み上げ、男達の正体を確認していた。


「俺達が来る前に誰かがコイツ等をやったって事か?」


 俺がそんな疑問を口にした直後、吾妻君が大きな声を上げた。


「あっ、皆さん! あそこで誰かが戦っています!」


 吾妻君に指さす方向には見覚えのある少女、確か神子みこと名乗った少女と先程学校に乗り込んできたばかりの朝来名が相まみえていた。


「オイ! これは如何いう事だ?」


 麗衣が二人のもとに駆け付けると、近くに居た麗衣に似た少女が緊張感のない声で話しかけてきた。


「あっ、麗衣ちゃん、さっきはゴメンねぇ~」


「テメーのせいでバンディット昇天しちまったじゃねーかっ! ……って、今はそんな事より、これ如何いう状況だよ?」


「見て分かりませんか? これ、私達がやったんですよ」


 一人称が「私」の美少年……じゃなくて、スカート履いているから女の子か?

 誰かによく似ている女の子が麗衣に話しかけると、麗衣は驚いた様にその子を指さした。


「お前は! もしかして火受美ほずみか!」


「お久しぶりです。麗衣先輩。何時も姫野君がお世話になっています」


 火受美と言う子は礼儀正しく頭を下げた。


 この雰囲気と言い、この美少年っぽい顔と言いまさかこの子って―


「ねぇ、麗衣ちゃん。もしかして、この子って姫野先輩の妹さん?」


 俺が聞く前に勝子が麗衣に訊ねた。


「ああ。その通りだ。コイツは織戸橘火受美おとたちばなほずみ……姫野と環の妹だが……まさか立国川高校に入学するとは聞いてなかったぜ」


「ハイ。姉妹三人で同じ高校とは珍しいですもんね」


「まぁ家が近いからな……色々募る話もあるが、今はそれどころじゃなさそーだな。何が起きているのか説明して貰おうか?」


 一触即発の様子で向き合っている朝来名と神子みこという少女の方を指さして麗衣は火受美に聞いた。


「ええ。不良は私達『NEO麗』の敵だから潰しているところなんですよ」


 火受美は平然とした顔で信じられない事を言い放った。

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