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ざまぁみろ

「オラ! お前等何時まで寝てるんだよ!」


 伊吹が柏と阿蘇を蹴り飛ばして叩き起こした。


「う……キモチワルイ」


「クソっ……あのカマ野郎がっ!」


「何時まで寝ぼけてんだよ? アイツ等は俺がとっくに片付けたぜ」


 伊吹が呆れた表情を浮かべながら告げると、バツが悪そうに柏と阿蘇が言った。


「そっ……そうかい。流石ファントムだね」


「ワリィな油断しなきゃ、アイツが男だって始めから分かってりゃあ俺も負けなかったのによ」


「見苦しい言い訳は止せ。それよりか、まだ小碓が来やがらねぇから、第二ステージに移らなきゃな」


「第二ステージ?」


「ああ。お前等の好みのヤツをヤレ。で、ネットで動画でも晒しちまえば小碓も無視出来ねぇだろ?」


 伊吹の命を受けて、柏と阿蘇は醜悪な笑みを浮かべた。


「じゃあ、俺はこのカマ野郎に突っ込むぜ。顔だけは好みだからよぉ」


「OK♪ じゃあ、僕は香織ちゃんを玩具にしていい♪」


「んだよ? 柏、昔あんなにボロボロにした中古なんかが趣味なのか?」


「阿蘇君こそ敢えて男の娘選ぶって如何いう趣味だよ? で、ファントムは誰とやりたいの?」


「決まってるだろ?」


 伊吹は壊れた人形の様になった麗衣の顔の上に足を乗せた。


 目の光を失っている麗衣は足底を舐めなさせながらも全く抵抗する力が残っていなかった。


「オイオイ、面ボコボコな上に多分ソイツも中古だぜ。伊吹も趣味ワリィな」


「女なんざも催したらやる様なモンだろ? それに小碓が一番大事にしているって女がコイツって聞いたからな」


 醜悪な欲望を隠そうともしない、男達の会話に香織は身を震わせながらも叫んだ。


「や……止めなさい! ヤリたいならあたしだけを犯しなさい!」


 それは文字通り身を引き裂かれる様な痛みと恐怖と屈辱を味合わされ、香織にとって命を絶ちたい程おぞましい出来事が繰り返される事になる。


 でも、同じ想いを親友の香月や助けに来てくれた麗衣に遭って欲しくない。


 悔しくて仕方ないが、それだけの想いで男達の欲望に身を委ねる決意をしたのだが、伊吹から聞かされた言葉は無情なものであった。


「勘違いしているみたいだが、お前にはそんな価値がねぇんだよ。俺の目的は小碓だ」


「小碓先輩を?」


「お前は小碓を招き寄せるエサにもならなかった。だが、美夜受は小碓のエサになりそうだからな。まぁエサのエサ程度には価値があったのかもしれねーけど、何れにせよ、お前の利用価値は無くなった」


 伊吹が柏を促す様に顎を動かした。


「柏。好きにしろ」


「ハイハーイ! 待ってました!」


 柏の欲望に歪んだ表情を見て、嬲られ犯され汚しつくされたあのおぞましい夜の事を思い出させられた。


 このまま黙って犯されるのも悔しいし、皆を救えない。


 でも、あたしにも出来る最後の抵抗がある。


 柏に向かって香織は舌を出した。


「ハハッ! 何ソレ! 挑発のつもり?」


 違う。


 あたしは出した舌を上下の前歯に力を入れて嚙み切ろうとした。


 あたしが死ねばコイツ等は殺人犯になる。


 殺人犯ともなれば少年法で守られているとはいえコイツ等も只では済まないし、何より世間が許さないだろう。


 そうなれば即座にネットで顔も住所も氏名もすぐに突き止められ晒され、コイツ等もコイツ等の家族にまで社会的な制裁を加えられ、真っ当な生活など送れず、一生指さされる生活を強いられることになるだろう。


 これで良い。


 これで良いんだ……。


 舌を出して、精一杯馬鹿にしながら、コイツ等の目の前で死んでやる。


 そして一生、あたしの死に顔をトラウマとして脳裏に刻み込め。






 ざ ま ぁ み ろ

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