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待ち受ける敵

 あたし……美夜受麗衣はNinja250を立国川ホテルの駐輪所に止めた。


 かつて邊琉是舞舞ベルゼブブが溜まり場とし、恵が率いる天網との死闘を繰り広げた場所だ。


 どういう訳かここには今、ファントムを称する伊吹尚弥という男達が香織を攫い、何故か武を呼び出して来た。


 武が伊吹を知っている様子は無いので、伊吹の意図は不明だが、アイツ等の言う通り武を合わせてやる必要はない。


 あたしに続き、スーパーカブ110に乗る恵は後ろに乗る静江が、YAMAHA DragStar 250に乗る火受美の後ろに乗る香月がそれぞれバイクから降り、皆ヘルメットを脱ぐと、あたし達の事を待ち受けていたのか? ぞろぞろと団体さんがお出迎えに来やがった。


「テメーラの中に小碓って奴は居るか!」


 集団のリーダーと思しきスキンヘッドに派手な傷跡がある男が訊ねてきた。


「アイツを待っていたとしたら残念だったなぁ? アイツは留守番だ!」


「ケッ! そうかよ! 小碓以外の奴は通すなって言われているんでな……テメーラには死んで貰うぜ?」


 ざっと数えたところ、二十人は居そうだ。

 中には一度は観た事がある様な奴も数人居た。


「テメーラ、もしかして邊琉是舞舞ベルゼブブか? 何で伊吹に何か従ってるんだ? プライドがねーのかよ?」


 邊琉是舞舞ベルゼブブのリーダーである身毛津が居ないが、以前シメた覚えがある邊琉是舞舞ベルゼブブのメンバーが数人含まれていた事と、こんな場所でタムロしているってだけで確信が無い質問だったが、図星だったのか?


 スキンヘッドの男の表情には戸惑いを隠し切れない表情を浮かべていた。


 だが、すぐに気持ちを入れ替えたのか?


 苛立ちをぶつける様に言い放った。


「うるせぇ! テメーラも勝手に邊琉是舞舞ベルゼブブの旗を使って首師高校ひとごのかみこうこうの連中と喧嘩した時に利用したって言うじゃねーか! 伊吹さんとは関係なしにテメーラは潰す予定だったんだよ!」


「ハッ! 何時もなら喜んで相手にしてやるけどよぉ……こっちは時間がねぇ。如何するか?」


 この五人なら倒せない人数では無いが、こうしている間にも香織がレイプされているかも知れないと思うと、気ばかりはやり、あたしは恵に訊ねた。


「ここは私と静江ちゃん、火受美ちゃんで引き受けるって言うのは如何かな? 麗衣さんと香月君は香織ちゃんを助けに行って!」


「流石に三人で二十人相手はきつくないか?」


「大丈夫だよ! 十五対百のあの時に比べれば余裕でしょ?」


 いやいや。単純な人数比からすると大差ないだろ?


 せめて武が居れば……いや、アイツに勝子の事を任せたのはあたしなんだ。


 だからアイツに頼ろうなんて考えたら駄目なんだ。


「分かった! さっさと伊吹達をぶちのめしてくるからよぉ! それまで持ちこたえてくれよ! 行くぞ香月!」


「「「「了解!」」」」


 あたし達は邊琉是舞舞ベルゼブブの連中を中央突破で突っ切ると、足止めで恵たちがその場に残り、あたしには香月だけが着いてきた。

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