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更なる真実 五人目……が死んだから何


彼女の臨終を見届け、ひとしきり涙を流し尽くした一同は、気持ちを落ち着かせると各々別行動を取り始めた。


「わたくし、教会に行ってきますわ」


「私もラボに行くよ」


「わたしは博士のところに用があるので……」


「あたしも師匠のところに……」


 トラウマの生んだ幻想……って?


 なんだかみんなの様子がおかしい。悲しみに暮れるでもなく、各々足早に行動を始めた。なんだか今までのやたらと嘘っぽい。あれ?これ嘘っぽいね?やられた☆でもあの子は本当に死んだぞいv



西香の場合


「神父様!いらっしゃいますわね!?」


 夕方の教会に美少女サンタクロース現る。


「我が教会へようこそ。何か用ですかな?」


「あのですね、ここにくっそ重いゴールドって仮想通貨があるんですの。これがあれば簡単に人を蘇らせてくれると聞いて、それで一人生き返らせて欲しい人がいるんですけれど」


 ずしん!ゴールドが山ほど入った袋を置いた床が陥没。よく担いで来れた。


「なるほど。おぉ神よ〜、その人を生き還らせたま……」


「あ、ちょっと待ってくださいます?それについてオプション設定を……」



衣玖の場合


「ふぅ。こんな事もあろうかとスーパー復活薬を開発しておいてよかったわ。なんだかやっとこのIQ三億が活かされた気もする。この薬、副作用としてゾンビ化するけど、背に腹は変えられないわよね。それにゾンビって超カッコイイし、確実に気に入ってもらえるはずよ」


 ふふん、と紫色の液体を振って怪しい光にかざしては満足げにニヤリと笑っている。衣玖の頭脳ならゾンビ化の副作用も消せるが、好意的に残しておいてある。


「あーどんなゾンビになるんだろう……メイク風?あ、頭蓋骨とか見えちゃうリアルな奴だったらどうしよう……あぁクレイジィ……超イケてるわ……それなら女同士でも……は、何考えてるんだろ。早く使ってあーげよっと。ふんふふんふーん」



真凛の場合


「チョウスゴイ博士!あの装置はできましたか!?」


「うむ、出来ておるぞぇ。ほれ、これが死体と物体を掛け合わせ、生者として合成再臨させる、倫理や法則を全く無視して作り上げた合体マシーンじゃ、超凄いじゃろ?」


「やったぁ!流石チョウスゴイ博士!超凄いです!これで機能として料理も掃除も自分の体だけで可能な最強改造人間を生み出せるんですね!?」


「うむ。君の用意した掃除機、ガスコンロ、包丁、フライパン、はたき、モップ、トイレのキュッポンの奴……全てセット済みじゃよ」


「あ、まだまだ足りない道具がありますね……たくさん用意しないと!バビュンと行ってきまーす!」


 気合を入れると博士の家を飛び出し、掃除道具や料理道具を取りに走っていく真凛。


「ほっほっほ、元気な娘っ子じゃ。気をつけてなぁ」



留音の場合


「師匠……教えてください!死者復活の秘伝奥義、回生輪廻転生撃を!」


「る、留音よ、なぜその技を……そうか、ついにその極地に至ってしまったのだな。だがこの技は四天王を倒し、五人衆を下し、六武天を越え、七英傑に勝たねば教えてやる事はできん」


「もう倒してきました!師匠!」


 ちなみに超最強波で一瞬にして全員をまとめてオーバーキルしたという説明は常識的に考えればわかることだった。


「うむ、そうか。ならばわたしが最後の壁となる。我が壁を越え、その秘伝を手にし」


「フンッ!」


「おえーっ!見事なフライング気味の不意打ちだ留音、お前の勝ちだ……この秘伝の巻物を受け取るがいい……」


「ありがとうございます、師匠!」


「ただしくれぐれも覚えておくのだ、その奥義で復活したものは筋肉モリモリのスーパーむきむきマッチョメンになるということを」


「望むところです!師匠!」



 こうして西香の元には、顔のランクが五つほど下がった彼女の姿が。どうして下がったんですかな?


「あの方、ちょっと可愛すぎるでしょう?一緒にいるとわたくしが引き立ちませんの。ですからちょっと神父様にお願いして顔のランクを下げていただきました。ついでにお胸もぺったぺた、お腹とお尻もメリハリゼロですのよ、でもわたくしが隣にいても大丈夫なくらいのレベルの容姿は残してありますわよおほほ。わたくしが生き返らせて差し上げたのですから、それくらいのわがままはいいですよねぇ?」


 ねぇ?じゃない。せっかくの美少女を一人消すとはなんという事を。



 そして衣玖の近くには結構深刻な臓物とか見えてる感じのパターンでゾンビ化した彼女の姿が。


「あぁ、とってもかっこいいよぉ……あいたっ、もぅっ甘噛みして……ふふ、仕方ないんだから。これでワクチン使い果たしちゃったぞっ」


 ぷすっと注射を打ちながら幸せそうな顔をする衣玖。ゾンビ化対策のワクチンが切れたらしい。


「うー……うー……」


「あら、お腹減ったのかしら。じゃあそこのレストランはいろっか。……えへへ、デートだね。な、なんちゃって……っ!」


 なんちゃってじゃない!ゾンビメイクな上、ドクロヘッド浮き彫りの彼女に衣玖はぞっこんで女の顔になっている。



 で、真凛の元には改造人間が出来上がっていた。


「ほっほっほ、完成じゃ」


「うわぁすごい!本当に改造お掃除料理人間が出来ちゃいましたぁ!」


「うむ、でもちょっと計算外じゃ。足がトイレのキュッポンの奴と掃除機じゃ歩きにくかろうて。それにガスコンロが頭についてしまっては料理を見ながら炒めたり焼いたりできんのぅ」


「大丈夫です!わたしが使いますっ♪」


 大丈夫じゃない!!そもそもトイレのキュッポンが足とか、余計に床が汚れてみんな不快になるに違いない。



 留音は留音でご遺体に必殺技をぶつけていた。ちなみに既に衣玖が連れているのは死後の細胞から作り出したクローンあの子だ。


「でやぁぁぁああ!!奥義!回生!輪廻!転!生!撃ィィ!!」


「おぉなんという技!死んでいたはずの少女の体重が六十キロくらい増え、その全てが筋肉へと変換された姿で蘇った!!」


「あれは留音先輩の筋肉への渇望を直接気に混ぜ込み、一気に放出してイメージを相手にぶつける大技……肉の要素が全て胸に行くか、まるで太る事のない理想な体型を持つ留音先輩だからこそ可能な必殺奥義というわけッス!」


「そんな技が存在していたとは……超最強波をも超える技か……」


 謎の解説役については察してもらうとして、留音の前にはモリモリのあの子が立っている。顔はそのままだがその闘気たるや一人だけ世紀末を感じる。


「……おかえり。あたしの理想の姿で、よく帰ってきたね」


 おかえり、じゃない!!!腹筋が割れている程度なら美しいが、ゴリマッチョの顔だけ美少女なんて誰が見たいというのか。



 こうして目も当てられないほどビジュアルが劣化した四人の新たなあの子と、みんなの計八人で暮らしていくことになりました。


 でも流石にゾンビは臭うし改造人間は使いにくいしゴリマッチョは邪魔だし、「そもそも八人って締まりが悪いな、やっぱり五人がいい」という流れになった事でなんの魅力も消えたバージョンのあの子も戦略外通告を受け、色々あって元の姿のあの子がみんなのところへ帰ってくることになりました。


 こうしてまた、再び五人で暮らすことになりました。突然地球が滅んだり、しょうもない理由で事件が起きたり、はたまた世界を平和に導いたりと、特に今までと変わらない毎日をみんなで過ごして行ったんだそうです。



おしまい。(嘘)

結局なんだこれ。

当初は続き物としてシリアス落ちからのハッピーエンドを狙っていましたが、終わらないシリーズにしたいしこれも単発の話として投稿することにしました。


いやー終わるわけないよね。現実の疲れを癒やしてもらうためにいる子達ですから……これからもこの子達をお願いします。


長々と読んでいただいてありがとうございました。

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