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後編 五人目の真実
これは終章であり、同時に序章でもある。
こうして遺された少女たちはやがて、死んだ少女の幻影を作り出した。
何をするにも、どこに行くにも、四人はずっとその子は近くにいると思い続けた。
何も言わない少女。誰も名を呼ばない、ただ集合意識の中で微笑むだけの存在。
それこそ「あの子」「そこの子」「彼女」と抽象的に描写される少女だった。
みんなの心の中でだけ、鮮明に生き続けている。
どんな形であれ、いつだって笑ってそこにいる。
そう思っているから、彼女がみんなの心に描写されるのだ。
トラウマの生んだ幻想。
みんなの心に生まれた心地よい幻肢痛。
それが五人目の少女の真実。
さよならもありがとうも言えず、ただ遠くへいってしまった友達。
本当はもうどこにもいない、優しくて、笑顔が素敵な、みんなの最高の友達。
それが彼女だった。
そして真相へ続きます。