ふたり
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それからお姫様と怪物は、深い森の奥にある、小高い丘の上に小さな家を建てて、一緒に暮らしはじめました。王様は何度もお姫様を奪い返そうと兵士を送り込みましたが、いつも兵士たちは、道に迷って森の奥に辿り着けずに帰ってきたり、狼の群れに追われて逃げ帰ってきたり、食べ物を盗まれてトボトボ帰ってきたりして、結局お姫様を連れ戻すことはできませんでした。お姫様の結婚は破談となり、王様はたいそう怒りましたが、もうどうすることもできません。怒ったり、嘆いたり、怒鳴ったりと忙しい王様の様子を窓からこっそりのぞいた妖精が、ケタケタとお腹を抱えて笑っていました。
天気のいい日には、怪物がテーブルを外に出して、丘の上から見える美しい景色を見ながらお昼ご飯を食べます。お姫様が焼くマフィンのおいしそうな香りが、少し離れた場所からふたりを見守る妖精のところまで届きました。
妖精は、自分がこんなにも変わってしまったことに驚いていました。妖精はもう、どんな宝石も、金銀財宝にも、まるで興味が無くなってしまったのです。あの日、ふたりの瞳に宿る美しい光を見た後では、どんな宝も色あせて見えるようになってしまったのです。
怪物が椅子を並べ、テーブルの用意を終えたちょうどその時、お姫様が焼きたてのマフィンをお盆にのせ、家の中から出てきました。お姫様は笑っています。怪物もまた、笑っていました。今、この景色の中にあるのは、妖精が今までに見たどんなダイアモンドよりも美しい、幸せの輝きでした。
妖精は微笑んで、そっと心の中でつぶやきました。
どうか、どうか、幸せに。
ふたりが共にある限り、僕の魔法はあなたの味方さ。
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