怪物 -5-
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怪物は驚いたように少し目を見開きました。今初めて会ったばかりの、それも敵として現れた相手が、自分の身を案じてくれるなんて、思いもよらなかったのです。怪物はふっと柔らかい表情を浮かべ、そしてゆっくりと首を横に振りました。
ありがとう。でも、私は行かなければ。
なぜだ!
どうしてわかってくれない、と言うように、騎士は叫びました。
あの気弱なお姫様が、お前にいったい何をしてくれるというのだ?
お前が命を懸ける価値が、あの娘のいったいどこにある!
怪物は少し困ったような表情を浮かべ、軽く頭を掻きました。
なぜと言われても、うまく言葉にできない。
ただ……
怪物は迷いのない、静かな深い蒼色の瞳を騎士に向けました。
魂が、そうせよと言っている。
その言葉に、騎士は俯き、固く目をつむりました。そして顔を上げた時、騎士は戦う者の顔をしていました。
私は騎士だ。お前が歩みを止めぬというなら、斬らねばならない。
怪物は穏やかに答えました。
知っている。
騎士は奥歯を噛み締めると、長剣を正眼に構えました。
怪物もまた、折れた槍を騎士に向けました。
ォォォオオオオオーーーーーっ!
獣のような咆哮とともに、騎士は怪物に向かって駆けていきました。
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