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騎士と姫君  作者: 曲尾 仁庵
はじまりとおわり
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はじまりのおわり

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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 いくつもの槍をその身に受けて、怪物は膝をつきました。

 兵士たちが一斉に槍を引き抜くと、傷口から溢れた血が流れ落ち、地面に血だまりを作ります。ぐらり、と怪物の身体が揺れ、そしてついに、怪物は地面に倒れました。

 お姫様がハッと息を飲みます。その顔からは血の気が引き、真っ青になって震えていました。兵士たちは、かすかに上下する怪物の心臓に狙いをつけて、もう一度槍を構えました。

 このままでは死んでしまう!

 お姫様は騎士の手を振り払うと、


 もうやめて!


 地面に倒れた怪物に覆いかぶさるようにしながら、叫びました。


 私はお城へ戻ります。

 もう逃げ出したりもしません。

 だからどうか、これ以上この方を傷つけないで。


 騎士は戸惑いました。怪物にさらわれたはずのお姫様が怪物をかばうなんて、もしかしたらお姫様は恐怖のあまり、おかしくなってしまったのかもしれない。しかし騎士はすぐに、それは大した問題ではないと思いなおしました。お姫様が生きていて、無事に貴族の許へ嫁ぐことができればそれでよいのです。お姫様と貴族の結婚に、心は必要ないのですから。


 これほどの傷を受けていれば、そのうち勝手に死に絶えるに違いない。

 こんなにみにくい化け物だ。命を奪えば呪われるかもしれぬ。

 我らの使命は果たされた。姫を連れ、一刻も早く城へ戻るこそ大事であろう。


 騎士はそう言うと、お姫様の腕をつかみ、無理やりに引っ張ってお城へと連れて行きました。お姫様は何度も後ろを振り返りながら、心の中で必死に祈っていました。


 どうか、どうか、生きていて。

 どうか、どうか、死なないで。


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