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騎士と姫君  作者: 曲尾 仁庵
はじまりとおわり
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現在 -29-

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 空が闇色から少しずつ藍の色へと変わり、星々の光もその輝きを失いつつあります。もうすぐ夜が明け、妖精の魔法も消えてしまうでしょう。怪物はお姫様をその腕に抱え、懸命に森を駆けていました。


 もうすぐ森が終わり、山の入り口に辿り着く。

 山に入ってしまえば逃げ切れる。


 怪物は祈るように、心の中でそう呟きます。背後にまだ追っ手の気配はありません。きっと大丈夫、必ずうまくいく。そう思った矢先――

 怪物は前方に人の気配を感じ、慌てて木の陰に身を隠しました。心臓が早鐘を打ち、冷たい汗が噴き出してきます。目を閉じ、耳を澄ますと、あちこちから金属の擦れあう音が聞こえてきました。木の陰からそっと身を乗り出すと、闇の向こうにちらちらとかがり火が揺れています。かなりの数の武装した兵士が、怪物たちの向かう先に待ち構えているのです。


 どうして?


 怪物は信じられない気持ちで、木に背中を預けて座り込みました。まさか先回りされているなんて、思ってもみなかったのです。ここを通れないとなれば、来た道を大きく戻って別の道を探すよりほかにありません。神経をすり減らす逃避行をまだ続けねばならないことに、怪物は呆然としました。

 お姫様が不安そうに、怪物の腕に手を添えました。怪物はハッとして、お姫様の手に自らの手を重ねます。呆然としている場合ではありません。一刻も早くここから立ち去らなければ、やがて見つかってしまうのですから。お姫様の不安を打ち消すように微笑んで、怪物は立ち上がりました。道はまだある。きっと、逃げ延びる方法はまだあるはずです。


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