現在 -26-
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契約は果たされた。
また何かありましたら、お財布とご相談の上、なんなりとお申し付けを。
あなたが代価を支払う限り、僕の魔法はあなたの味方さ。
妖精は大仰な身振りで頭を下げると、お姫様の周りをくるりと回りました。そして少し難しい顔を作り、申し訳ないんだけど、と断って、こう言いました。
月が姿を隠す夜の魔法は星たちのきまぐれ。
瞬きに揺らぎ、流れて消えても恨みっこなしだ。
魔法がいつ消えてもいいように、
追っ手の目の届かないところまでとっとと行っちまうことだね。
お姫様が妖精に何か言おうと口を開きました。妖精は手をサッと前に出してそれを制すると、
お礼ならもう結構。
あなたがくれたこの指輪は、
どんな言葉より価値がある。
魔法は指輪と交換だから、
お礼の言葉は余分だよ。
と言いました。怪物とお姫様は互いに顔を見合わせ、少し笑いました。妖精はふたりの様子に不満顔でしたが、ふわりとふたりの頭上に浮かび上がると、
せっかく僕が三度も助けてあげたんだ。
結局捕まりましたじゃ気分が悪い。
きちんと逃げ延びてほしいもんだね。
生意気にそう言って、空の向こうへ消えていきました。怪物とお姫様はしばらく妖精の去った空を見上げていましたが、やがて怪物はお姫様の手を取り、歩き始めました。森の終る場所、国境の山まではもう、決して遠くはありません。
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