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過去 -25-
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婚礼衣装を身に着けたまま、お姫様はお城の裏庭にうずくまり、泣いていました。壁の向こうにいる誰かが、心配そうに声を掛けます。
泣いているのですか? どうして?
壁の向こうにいる誰かの優しい声に、お姫様は堰を切ったように話し始めました。顔も知らぬ相手に嫁がねばならないこと。その相手は三十も年上であること。明日には都を離れ、見知らぬ土地に連れていかれてしまうこと。そして、もう都に帰ってくることはできないということを。
私は嫌です!
知らぬ土地に行くのは嫌です!
会ったこともない殿方の妻になるのは嫌です!
あなたとお話しできなくなるのは嫌です!
あなたと、お別れするの、は嫌です!
お姫様は泣きながら、自分の素直な気持ちを叫びました。それは、今までずっと、言っても無駄だと、どうせ誰も理解してはくれないのだと、諦め押さえつけていたお姫様の本当の気持ちを、初めて自分以外の誰かに吐き出した瞬間でした。
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