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過去 -16-
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名前がないのだと、そう告げる声からは、強い緊張が伝わってきました。その緊張は、今、自分が感じているものと同じものではないか。お姫様はそう思いました。初めて会う相手から自分がどう思われるのか、不安と恐怖が全身を縛り付けるような緊張感。
私があなたを怖れるように、あなたも私を怖れているの?
お姫様はゆっくりと立ち上がり、蔦の這う薄汚れた石の壁に手を触れました。
私には名前があるけれど、誰も名前を読んだりはしないわ。
そしてそっと城壁に触れて、こう言いました。
あなたのことを、話してくれる?
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