夢物語
幼い頃からとても仲の良い友達が居た。
何をするにもどこに行くにも一緒。
家が隣だったので、よく学校から家まで走って帰って行った。
一等、二等、三等。
友達の親が買い物に連れて行ってくれた。
その日は、とても暑い夏の日だったのでアイスを買ってくれた。
一つ、二つ、三つ。
中学校に入学し野球部に入った。
お揃いのグローブにしようと両親にお願いして買ってもらった。
一個、二個、三個。
大人になっても幼い記憶が鮮明に蘇る。
今、手元には二束の花束。
今、目の前には二基の墓。
気がつくと、僕は一人になってしまっていた。
ふと、目の前には赤と青のランドセルが揺れていた。
今日も僕が三等のようだ。
同じ事を繰り返している。
忘れないように消えてしまわぬように。
二人に見守られながら空高く飛んで行く間ずっとずっと。
誰かが離れていってしまうより遥かに悲しい事は、自分から離れざるを得なくなってしまう事ではないでしょうか。