表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花踊る海の唄紬  作者: 奏
1/14

00

沈み込んでいた意識が浮上する。

深く永く自分を覆っていた夢から覚める感覚は、直接鉛を飲み込んだ様な重さを伴っていた。



視界いっぱいに広がる靄に星がちらつく。

まぶたを開けようにも、持ち上げられるものなどまるでそこにないようだ。



…………聴覚を刺激するのは、遠く、遠く、遠いどこかで聞こえる波打ち際のさざめき。甘く粘度のある潮風を嗅覚で感じて、意識は懐かしい黴びた香りを欲した。


何ももっていないのだ、欲を抑える術とて、ない。


全てが終わったとき弾き出されるのがこの意識なら、朽ち果てることすら、自分にはない。




ならば意識体としても寝ぬとき、最後に吐き出される先は、愛した海端が良い。




そうして残された欠片の軋むほどの念望は、満たされそうな器の声帯を、ただ一度だけ震わせた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ