四話
すごい登場のしかたがあったもんだ。戦隊ヒーローでも最近は珍しい登場のしかたじゃないか?あと身体丈夫だな。まぁ異世界なんだから当たり前か?いやいやそんなことよりも。
「ぼ、僕の名前ですか?」
「そーです!ナットさんとマルセラさんと同年代のお客さんなんて初めてですから!気になるんです!」
へえー。同年代の人と会ってないっていうのは本当だったんだな。こんなに優しいから友達なんてすぐ作れるのに。
「僕の名前はアサシです。この家で少しの間だけお世話になります。よろしくお願いします。」
すると、
「えっ?この家に住むんですか?ていうか叔母さんのお許しを得たんですか!すごいですね!」
おっと雲行きが怪しくなってきたな。許しだと?もらってるわけないだろうが。当たり前の事を言わせるな。「えっナット。伝心術で伝えたんじゃないの?」
次は魔法用語がでてきましたね。伝心術というからには遠くに離れていても、伝わるみたいなものだろうか?多分そうだろう。
「、、、してねえ。してねえよ!でも、アサシいいやつだし!許してくれるに決まってんだろ!」
いいやつだから家に住むのを許すといったら、この世の中にホームレスという人はいない。だけどナット、君の方が何倍もいいやつだよ。マルセラはその何十倍もいい人だけどね!しかし、どうしよう。許可を得ないといれないんだったら、詰みなんですけど。するとその心情を察してか、マルセラが
「じゃあ、私が伝心術で伝えてみる。」
と言ってくださった。何て優しいお方だ。だけどなんだろう。嫌な予感がします。ひしひしと伝わってきます。すると、なぜか脳内に
(私がそちらに向かうので問題ありません。)
という言葉がでてきて文として伝わった。これはなんだ?と思っていると
「やはりお母様の読心術はすごいわね。こんなに離れていても読まれてしまって、挙げ句のはてに使おうと思っていた、伝心術で返されるなんて。しかもこんな鮮明に聞こえるぐらいだから、伝心術も極めていらっしゃるのね。さすがだわ。」
とマルセラが称賛も含めて解説してくださった。色々本当にありがとうございます。私はこの世界に来てまだ一日も経ってませんからね。赤ん坊ですよ、赤ん坊。優しくしてくださいね。と妄想でたわいもないことをたらたらと思っていたら、ヒュン。ビュン、ビュオーと風を切る音が近づいてきた。そして皆の前に人影がたち名乗りをあげた。
「私の名前はオリアーナと申します。貴方が今日からここに住みたいとおっしゃっている、アサシさん、で間違いないかしら?」
「は、はい。間違いありません。僕の名前はアサシです。よろしくお願いします。」
ほっ。普通に返すことができた。そんなん当たり前だろ?だって?あの威圧的な雰囲気をみてよ。とてもじゃないけど普通では言えないと思うよ。そういう面でも僕はメンタルが強い方じゃないかと思ってる。今まで何回虫を背中に入れられたり、急に泥に落とされてきたりしたと思ってるんだ。ちょっとやそっとのことじゃ、驚いたり焦ったりはしない!結構今のは危なかったけどね!するとオリアーナさんは
「ふむ。メンタルは合格と。」
なにが合格なのかは分からないけど、同じようなことを言っていて安心したー。自分でもメンタルの強さは強い方じゃないかと思っていますよ。何回でも言いますよ。はい。しかし次に絶体絶命のピンチが訪れる。
「じゃあ次は剣の扱いを見せてもらいましょうか。」
剣の扱いだ、と?一回も実物の鉄の剣は振ったことすらないのに、扱いだと?しかもなぜ僕の前に一人の剣士が立つ?まさかこの人と勝負でもするのか?スイカ割りなら受けてたつが恐らく違う。生死を分ける戦いの剣の打ち合いだ。
「ま、まってくれよ!アサシはまだ剣を」
「私と話すときは敬語でしょう?ナット。」
弁解しようとしてくれていたナットだったが、途中で言葉を遮られてしまった。これでは本当に勝負をすることになってしまう。まさか死に戻りなんていうやつもないだろう。普通は命は一個だ。だから逃げつつ慎重に倒しにいこう、とできもしないことを思っていたが、
「五分間勝負が動かなかった場合は、引き分けとして一週間後またやるということで。」
これはラッキーだ。逃げを中心に戦う僕のスタイルが有効活用できる。これでも僕は足が速い。逃げ切って見せる。
「あんまり無理すんなよ!危なそうだったら俺が止める!だから精一杯頑張れ!」
「アサシくん。お母様に認められるように頑張って!」
ナットとマルセラが応援してくれている。これはよりいっそう逃げスタイルを成功させなければ、決意をいっそう強くしたところでオリアーナさんが
「双方準備しなさい!用意はいいですね?」
と聞いてきた。僕はないが相手の方はあるらしく、
「なぁお前!名前を教えてくれ!」
なんか今日は名前を聞かれてばかりだ。まあ教えない理由はないから教えるけど。
「アサシです。」
「そうかアサシか!俺はシュバルツだ!よろしく!」
「うんよろしく。」
と軽く挨拶を済ませシュバルツさんも準備は整ったという意味なのか強く頷き、僕もつられるように頷き返す。するとオリアーナさんが今度こそスタートさせるために腕をあげ手刀を切るように戦いの始まりの合図を叫んだ。
「決闘、開始!!」
そうして僕アサシのこの家に住むための戦い改め決闘が始まった。




