出会い
「貴方、およそ二日後に死魂します。なにか、やり残した事はありませんか?言い残しておきたいことや、叶えたい願いはありませんか?私の出来る範囲でしたら、お手伝いしますが?
どうしますか?」
私は、何をしているのだろう?
彼女からの音色を聴いたのは昨日の帰り道。
自転車で帰宅する彼女から聞こえたため、呼び止めることができなかった。
この一日はとても大事なものだろうに。
まぁ、でも。
こんな風に知りもしない人からいきなり、呼び出され「死魂」しますと、死と同義の死魂を二日後にしますと言われたならば、その話を信じることが出来るだろうか?
きっと私なら信じないと思う。
信じたく無いから。
つまり、結局はかわらない。
他の人ならうまくられるのだろう。
昨日の内に伝え、後悔の無い選択を選ばせてあげれたのだろう。
でも、私はこれ以上の聞き方がわからない。
わからない。
多分今からこの人が発する言葉は、きっと私を傷つける。
それでも、私は。
キーンコーンカーコーン
やっぱり駄目だった。
彼女の目が私に色々教えてくれた。
最初は戸惑う瞳。
困る瞳。
怒りの瞳。
最後は不安な瞳。
私は結局何をしてやれることが無かった。
むしろ、知らなければ不安な気持ちを抱かずに残りの人生を歩めたのだろうに。
結局行着く答えは、自己満足。
いや、それすら出来ていない。
今の私は自己嫌悪することで、自分を許す自己満足だ。
最低だ。