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寝る子は育つ  作者: ミミナシウサギ
5/9

プロローグ

ほんとはチュートリアルの前に出したかったのですが、上手くいかずこんな順番に…

ゲーム愛好家の皆様すみません。





歩き出して幾らか時間が経った。



結構歩いたと思っていても、私はなんといっても現代人だ。

しかも、結構な怠け者で学校と少しのバイトでしか家を出ない。

そんな私が結構歩いたと思っていても、実際の距離はそんなことはない。

実際に景色が一切変わらない。

ずっっっっっと緑が地平線まで続いている。

歩いても歩いてもそれはどこまでも途切れない。

物体の影すら見えない、そんな中でずっと歩き続けるのはなんともまぁ精神衛生上あまり宜しくはない。


先ほどまで『頑張ろう』と決心していたからこそ、その決心を無駄にしたかのようなこの平和さに腹が立って仕方がない。

私は人間や生物に会うことや、町を見つけることなどを心の底のどこかで期待していた。

何かが起これば、私自身が傷つくこともあり得るだろう。でも、それに立ち向かう。そして家に帰る。

そのことまでもを私は決意していたのだ。

なのにだ、今の現状ではその”何か”すら起こる気配を見せず、ただただ日が落ちていくのだ。

それはそれで野宿の線が濃くなってきて焦る要因ではあるのだが、そんな焦りはほしくなかった。


まぁ、要するに、端的に説明すれば。


「人に会いたぁぁぁぁぁぁっい」


























ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


人々は慄いた。


最初はほんの少しの異変からだった。


まず、人間界に悪意が満ちてきて凶悪な犯罪に手を染める者が増え始めた。


強盗・恐喝・強姦・誘拐・殺人


皆が皆、自分のことしか考えられなくなり、親しい者以外は全てが敵だった。


そして、その狂気は世界に広まっていった。


動物たちが徐々に人を襲う凶暴な生き物へ変化していった。


そんな凶悪な動物を”魔物”と呼び人々は恐れた。


それだけでも世界は恐怖に慄き、神に助けを求めた。


しかし、神は甘くはなかった。


神は人間を見捨てたのだ。


自己満足と欲の塊で、他人を顧みず蔑み扱き使おうとする。


そんな人間を世界は、神は、必要ではないと判断したのだ。


そして新たにこの世界を思考する生き物を作った。


それが”魔族”と呼ばれる強靭な肉体と膨大な魔力、それを扱える肉体。


人間よりも寿命を延ばし、子孫繁栄の重要性を削り、その子孫にかける争いをなくした。


人間を排除しようとする世界。


それに待ったをかけることが出来る者は現れず


いつ滅ぶのかとびくびくしながら生きるしか道は残されていなかった。


しかし、神はどこまでも残酷だった。


いや、むしろ優しかったのかもしれない。


神は人々に”終わりが訪れる日”を教えたのだ。


人々は絶望した。


その日が訪れれば人間は強制的にこの世界から消されるのだ。


もう、抵抗する気力も奪われ、皆、終わりをただ待つだけだった。


神に奪われるくらいならと自殺をする者も後を絶たなかった。







そんな日常のなかで、一筋の希望が立った。


それはある王宮の聖職者が、神から頂いたお告げだった。


そのお告げは普段とは違っていた。


それまで彼らが信じてきた、”人間を滅ぼそうとする神”からではない。


いつもの人を忌み嫌うような雰囲気のお告げとは違う、もっと優しさがにじみ出る様な、そんなお告げだった。






『青キ海原二立ツ純白ノ者。ソノ者漆黒ノ髪・瞳ヲ持チ、先ヲ照ラス光ナルモノ』




『此ノ先暗黒立チ込メヨウト光取リ戻スレバ人喜ビ綻ブ』




人々は歓喜した。


ここにきてやっと神に祈りが届いたのだと。


自分たちを照らす光が、未来を切り開いてくれるであろう者が現れるのだと。


そして皆我先にと海へ旅立った。


世界の救世主とも思われるその者を見つけ出すために。


しかし、待てど暮らせどそのような者は現れない。


あぁ、あれは誰かの虚言だったのか。


そこかしこでそのような落胆の声が上がる。


その時一人の王子が気づいた。


『神は何も海だとは言っていない。』


そう、青き海原だとは言ったが、それは違うものでも言うことはできる。


たとえば”草原”




そうして彼らは出会うべくして出会ったのだ。誰もが救世主だと喜んだ、しかし一筋縄ではいかない規格外な存在に。



それが幸と出るか不幸と出るか。それは、神だけが知っている……のかもしれない。

















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