謎の女教師?
理事長と女教師がもめている頃、ある教室での事だ。
「メル先生遅いわね。」
「うん・・・朝もいなかったし、何かあったのかな?一応、朝来た事務員さんは、メル先生は昼から来るって言ってたのにね。」
二人の少女がそんな話をしていた。
一人の少女は、肩までかかった銀髪を二つに青いリボンで結んでいる。端正な顔立ちで、少し幼さが残る顔の少女だった。
そして、もう一人の少女は、薄い青色の髪を腰まで伸ばし、それを三つ編みにしている。片方の少女とは違い、大人の雰囲気を醸し出し、さらには、母性的な印象を与えているような少女だった。
ここは2年3組。担任はメル・リンクス。つまり、先程話していた、解任となった教師のクラスだった。
二人の少女の口ぶりからして、まだ担任の敗北については知らされていないようだ。
二人の少女と同じように、クラス内ではその話ばかりをしていた。
そんな会話も長くは続かない。いつしか、誰しもが黙ってしまい、終礼を待っていた。
そんな静かな教室に再び音が訪れる。
「はい。みんな着席〜って、もう着いてるね。」
ガラッと音を立てながら、教室に入ってきたのは、長い黒髪を一つにくくり、どこからどう見ても美女と言えるほどの妖艶さを醸し出す女性だった。
そして、その人が教卓についた時を見計らって、一つの声が上がった。
「あなた誰ですか?」
と。それは、教室にいる全員が思っていたことだろう。
それに対し、その人は口を開いた。
「新しいあなた方の教師です。メル・リンクスさんとの決闘の末、私が勝利しましたので、教論を変わらせていただきました。明日からよろしくお願い『なんでっ!』」
その教師が言い終わる前に声が上がった。それは、先ほど発言したのと同じく、銀髪の少女からだった。
「メルさんがあなたなんかに負けるはずがありません!だって・・・だって、メルさんは四属性使い(クアトロ)ですよ!?あなたがどんなに優秀な魔法使いでも、メルさんに勝てるはずがありません!」
「・・・・・・・」
それに対する女教師の答えは、無言だった。
さらに、銀髪の少女はまくし立てる。
「そもそも、私達生徒に連絡もしないで、勝手に先生が変わることなんてないんです!貴方みたいな勝手な女教師、私たちにだって勝てるに決まってー」
「クッククク・・・」
そこまで少女が言った時、何人かの生徒が訝しげな表情をし、その直後にその女教師が笑い出した。
それに対し、多少困惑しながらも、少女は女教師に向かって、言った。
「何がおかしいのよ!」
「いやいや、おかしいのはお前の方だぜ(・・)?」
「え?」
女教師の口調が変わったことに少女は驚愕の表情を浮かべる。
「そこと、そこと、そこの3人!良くやった。合格だ!」
そう言った瞬間、女教師の周りが歪み、徐々に違う人影が現れていった。
それは、深い青の髪の眼帯をしている少年の姿だった。
そして、生徒達が困惑する中、その少年はさらに困惑することを言い放ったのだった。
「俺の名前は、バジット・メルクリウス・ブラック(仮)だ!名前の通り偽名だが、ブラックって言うのは本名だから、ブラック先生とでも読んでくれ!これからよろしく!」
少し投稿後遅れてしまい、申し訳ないです。
次回は3月3日、ひな祭りの日の7時に投稿予定です。