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駅と手摺とボク
いくつかの駅に停まり、人が徐々に増え始めた。
満員電車と言うには程遠いけど、車内では立ってる人も増えてきた。
ユウコは相変わらず眠っている。
雨はもう止んでいた。
車窓に雨粒だけが残っていた。
(乗り過ごさないよね?)
ずいぶん長く電車に乗ってるように思い、ボクは少しだけだけど、早く電車から降りたくなってきていた。
ある駅に着いたとき、たくさんの人が降りて、たくさんの人が乗ってきた。
ユウコは突然目を開けると窓の外を見て大急ぎで立ち上がると、そのたくさんの人を掻き分けるように降りていった。
ボクは手摺に引っ掛かったままだった。
(ど……どうしよう)
ボクがユウコの後を追うことなど出来るはずもなく、なすすべもなく電車はボクを乗せたまま発車してしまった。
「えっ、傘?」
困り果てて後ろに遠ざかる駅を見ていたボクは、呟くような声を聞いた。