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一話

 

 ――――ある噂が今、ネット上で飛び交っている。


 それは、とある学校での話。


 その学校の、二階から三階に続く階段の途中の窓で自殺をした人がいるという話だ。


 その人の名前はS君というらしい。


 ・・・と言っても、その事件がいつ起こったのか、どこの学校で起きたのかは不明なのだが。



「・・・と、いうわけで、行ってみましょー!」


 また始まったよ。


 この、オカルト好きでネットサーフィンを趣味にしている、見るからに元気そのものな男は、松永 計五 (まつなが けいご) だ。


 中学二年生の男子にしては小柄で、俺の幼馴染みであり、数少ない親友である。


「・・・行くにしても場所がわからないなら、辿り着けないだろ」


「あ、そうだったな、ごめんごめん、蓮照!」


 ・・・俺は 鈴木 蓮照 (すずき れんしょう) 。


 あまり人と話すのは得意じゃなく、周りからは無口だ、寡黙だ、などとよく言われている。


 だが、計五とは普通に話せる。


 ・・・まあつまり、俺と計五はそんな仲なのだ。


「やめといた方がいいんじゃない、また前みたいに危なくなるかもしれないわよ?」


 ・・・この少し世話役みたいな印象を受ける女の子は、藤田春だ。


 体格は小さめでしっかり者に見えるが、なんというか、いつもどこか抜けているのである。


 ・・・こいつも俺と計五の幼馴染みで、暇があったらこの三人でいつも一緒に話している気がする。


「じゃあ俺、帰って調べてみる!」


 そう、いっつもこういう事は計五がネットで細かいところまで調べてくるのだ。


「計五・・・いつも通り私を無視なのね」


「違うよ、ちゃんと聞いてるけど、ただ反応しないだけだよ!」


「世間ではそれを無視というのよ・・・」


「んじゃ、またな!」




 ――――そして次の日


「S君の身内と連絡がついたよ!」


 ・・・は?


 計五は何を言っているんだ?


「どういうこと?」


「だから、S君の身内とネットの掲示板で連絡が取れたんだよ! 今日の16時に神社の前で待ち合わせっ!」


 ・・・理解できない。


 確かに計五は、そういうオカルト系をいつも調べてきた。


 実際に、皆で現地に何度も行っていて、それこそ危ない目に何回もあっている。


 そんな感じのことはもう慣れたのだが、今回のは根本的に違う。


 ・・・S君の身内ということはつまり、関係者なのだ。


 関係者と連絡しているということは、うまく説明できないが、とにかくなにかヤバいんだと俺の頭が危険シグナルを発している。


「・・・さすがに今回のはダメじゃないか?」


「大丈夫だって、まだその人が身内じゃないかもしれないんだし!」


 ・・・確かにそうだ。


 まだ本物の身内と決まったわけじゃない。


「でも、なんか嫌な予感がするわよ・・・今回はやめない?」


「なんだ春、ビビってんのか?」


「ち、違うわよ、そうじゃなくて、心配してんの!」


 春の気持ちもよくわかる。


 いつも心配してるのに、今回は特に危なさそうだから、余計に心配してるのだろう。


「大丈夫だよ、いつもなんとかなってるし、今回もなんとかなるさ!」


「でも・・・」


「じゃあ、16時に神社の前で集合な!」


「あっ、ちょっと!」


 言葉を残して、計五は走り去ってしまった。


「大丈夫かしら・・・」


「・・・計五は一度決めたことを曲げないからな」


「でもさ・・・蓮照・・・」


 春はかなり心配しているようだ。


 無理もない、今回は俺もヤバい気がするからな。


「・・・まあ、なにかあったら俺が何とかするよ。 それにもしかしたら、ただのイタズラかもしれないんだしさ」


「そうだといいけど・・・」


 今は14時になるかならないか、集合時間まであと2時間ちょっと残っている。


 今回もただの悪ふざけだと思うが、何故か俺から不安が離れることはなかった。



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