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天国から公衆電話

作者: NKi

彼はミツル。

年は14歳。

少し甘えたな中学生。

顔は平凡。

頭も平凡。

だけど甘えたな中学生。

特にお婆ちゃんにはベッタリ。

世間で言うお婆ちゃん子、日本代表。

だけどそれも引退の日。

強引に引退。

もうお婆ちゃんはいないから。

ミツルはワンワン泣いた。

犬のように鳴いた。

お婆ちゃんは笑っているのに。



彼はミツル。

年は15歳。

今年は勉強頑張る年。

夜食を買いにコンビニへ。

ジリリリリリン、ジリリリリリン。

公衆電話が鳴っている。

頭を抱えるミツル15歳。

ジリリリリリン、ジリリリリリン。

「……はい、もしもし。」

「…ミツルかい?」

「えっ!お婆ちゃん!」



彼はミツル。

年は15歳。

不思議な電話の真っ最中。

「お婆ちゃん、どうやって?」

「公衆電話からかけとるんよ。」

「…なんで、え、生きてるの?」

「ビックリせんでよー、天国からかけとるんよ。」

「えぇーーっっっ!!??」

ビックリするミツル15歳。



彼はミツル。

ご存知のとおり15歳。

不思議な電話はあと少し続く。

「お婆ちゃん、本当?」

「本当だよ、不思議だねぇ。」

「お婆ちゃんっ、ずっと話せるの?」

「それが10円しかないんだよ。」

「そんなぁ。」

「あんたがメソメソしてたら成仏できないよ、お婆ちゃん。」

「わかった、もう泣かない。」

「えらいねミツルは。勉強頑張りなさい。」

「うん。ありがとう。」

「じゃあね。ミツル。」

今日の夜はまだ肌寒い。

涙を浮かべてコンビニへ。



彼はミツル。

ちょっと大人になったが15歳。

ジリリリリリン。ジリリリリリン。

また公衆電話が鳴り響く。

「も、もしもし。」

「あ、もしもし。吉田美奈子と申します。」

「え、あ、はい。」

「よかった、さっきまで誰も取ってくれなくて。」

「………。」

「初対面で申し訳ないんですが…。」

「はい……。」

「◯△町□丁目◇番の家に行って、美奈子は天国に行けたと伝えてもらえませんか?」

「は、はい?」

雨がポツポツ振り出した。

ハテナマークも降り注ぐ。



彼はミツル。

時代遅れの電話を使う15歳。

「あなたも天国の人ですか?」

「はい。母が悲しんでばかりいて。」

「……そうですか。」

「私の机の引出しに母への手紙があるので、それも伝えてください。きっと信じてくれます。」

「……わかりました。」

「ありがとうございます。」

よく見る通りを真っ直ぐと。

知らない家で緊張が。

その人は涙を流してこう言った。

ありがとう。



彼はミツル。

良い人気分の15歳。

ジリリリリリン、ジリリリリリン。

今日も呼んでるように鳴り響く。

「はい、もしもし。」

「あ、俺加藤ってゆうんすけど。」

「……あなたも亡くなった人ですか?」

「そっすね。なんか死んじゃったみたいで。」

「どうしたんですか?」

「おっ話が早い。彼女がいるんすけどー、なんか後追いしそうで。」

「なるほど。」

気分はてっきり名探偵。

風が雰囲気かもしだす。



彼はミツル。

最近はじめた名探偵、15歳。

「止めれば良いですか?」

「そっすね。お願いしまっす。」

「わかりました。」

「あと早く良い彼氏さがせって言っててくれないっすか?」

住所を聞いて隣町。

やっぱり緊張は隠せない。



彼はミツル。

出会いが増えた15歳。

何故かビンタを食らってます。

だけど女は泣いて、ありがとう。

最近よく言われる言葉、ありがとう。

だけどビンタは想定外。



彼はミツル。

天国では人気者、15歳。

まだまだ電話は鳴り響く。

今日もミツルは大忙し。








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