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2032/07/31
今日、ツバキは退院する。
記憶は戻っていない。
『私、君のことよく知ってるからわかるんだ』
「どゆこと?」
『君、奥さんとうまくいってないでしょ』
「なぜ、それを…」
『わかるよ笑
あなた、ここに来すぎです』
立ち上がった彼女から就活パンフレットが落ちた。
「就職するの?」
『そ!京都行こうと思って。
専門行くときはさつきがいたから地元に残ったの。だからいい機会かもって』
「…ついて行ってもいいですか」
『…だめでしょ。奥さんと向き合いな』
ツバキは少し俯いて続けた。
『でも、もし、35歳でお互い独身でいたら、ありかもね!』
ツバキは晴れた笑顔で言い放つ。
『ま、どうにかなるし、どうにでもなるでしょ!』
彼女にとっての1が、彼女自身であることに気付かされ、不意に熱くなる。
『なぜ泣くー!?もー泣き虫なんだからー』
その実、さつきの妻が市役所に離婚届を取りに来たことは、また別の話。
運命は常に動き続けている。なるように、なっていく。




