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2032/07/07
病室に入ると、頭に包帯を巻いた、嫌になるほど見覚えのある、少し大人びた彼女が座っていた。
俺に気付いた彼女は言う。
「あれ?さつき…?おっさんになったね!笑」
6年前と変わらぬ表情で。
仕事終わりの18時。
普段は鳴らない私物のスマートフォンが鳴る。
画面に目をやれば、中学時代の友人だった。
「おー?久々だな。どうかしたか?」
『…あの、お前さ、今も地元にいるよな?』
「いるけど?なに?今度飲みにでも」
『ツバキが、事故に遭って、その…。記憶がないらしい。お前と連絡が付かないっておれのところに』
「…もう関係ない」
『そんな冷たい奴だっけお前。6年も付き合ってたじゃねぇか。それに、ツバキの記憶、お前と別れる直前で終わってるみたいで。だから、その、一回くらい、見舞い行ってやろうぜ。おれも行くし。な?』
正直全く気乗りはしない。
そもそも俺はフラれたのだ。
それに、縁を切ったのはこっちだった。
俺たちは6年前に別れたし、もう27の年。俺には今、嫁もいるし。
今更にもほどがある。
「それ、俺行かなきゃだめ?」
『お前マジ?ちょっとがっかりだわ』
ただでさえ多くない友達からの評価がこんなことで下がるのはもったいないか。
「うそうそ。行くわ、いつ?」




