6話 同性愛
「さっき、乃愛が、私が好きなタイプを聞いたでしょう? 私は男性のことは好きになれないの。女性が好き。乃愛もそうなんじゃない。なんとなく、最初会ったときから思っていたけど、男性に興味はないでしょう。それよりも、女性の方を見ている。」
「・・・。」
「明日は祝日で休みだし、今日は私の家に来てよ。ここから私の家は近いし。岩本町なの。知ってる? 歩いてもいけるけど、タクシーで行こう。呼んだから。」
瑠香は、強引に私をタクシーに乗せて、横に乗り込んだ。
そして、酔っ払っていることもあり、気づくと、瑠香の部屋に連れ込まれてしまったの。
玄関に入ると、瑠香は私に再び、口を重ねてきた。
本当は拒否すべきなんだと思う。
でも、もともと男性だった私には、女性を抱きたい気持ちはまだ残っていた。
そして、まだ男性に抱かれることには拒否感もあった。
瑠香はベットに私を連れ込み、キスをし続けた。
「私も服脱ぐから、乃愛も脱いで。」
瑠香は女性を知り尽くしていた。
恥ずかしいけど、私はのけぞり、体の中で雷が走った。
これまでの一人エッチとは違う感覚だったわ。
朝日が私の顔を照らす。
横には、瑠香が私の顔を愛おしいという表情で見守っていた。
「昨日はごめんね。いきなりだったから驚いたでしょう。」
「そんなことない。とっても幸せに包まれたわ。」
そう言って、再び口を重ねた。
「毎日、ここに来て一緒に暮らそうよ。」
「でも、まだ関係を始めたばかりだし。」
「そうね。焦らないで、ゆっくり進めましょう。朝ご飯食べる?」
「私が作るわ。」
「まだこの部屋の勝手もわからないだろうし、今日は私が作るし。アレルギーとかないわよね。」
「ない。じゃあ、今日はお願いするわ。洗い物はするから。」
表面的には女性どうしだけど、本当は男女の関係。
お互いに子供ができないということでは逆に安心感はある。
それで、こんな関係は半年ぐらい続いたの。
瑠香の部屋に女性2人の笑い声が溢れる。
周りの人は、ルームシェアを始めたんだと思うぐらいよね。
女性になって他人とエッチするなんて諦めていたの。
だから、こんな世界があるなんて思ってもいなかった。
瑠香が好きな温泉旅行に何回も行った。
特にステキだったのは、雪景色の露天風呂。
二人だけの温泉で、岩に背中を預け、ずっと手を握って雪景色を見ていた。
私は、瑠香の肩に頭を置いて、甘えたの。
そんな私に瑠香は口を重ねてきた。
そんな2人の時間がどれだけ幸せに感じられたかわからない。
夜は、高校生みたいに、夜中ずっと話していた。
今の職場で、こんな事があったとか、あの人たちが付き合っているとか。
そんな話しで、きゃっきゃしながら、いつの間にか眠りに落ちていた。
瑠香との時間はとっても充実していた。
でも、最近、私の気持ちに変化が出てきたの。
女性ホルモンが体の中ででているせいなのかしら。
時々、夢の中で、男性に抱かれ幸せを感じている私がいた。
そして、気づくと、男性の背中をずっと見つめている。
仕事で男性の先輩に説明しようと近づくと、ふと恥ずかしくて下を向いてしまう。
そんな日が増えていった。
よく考えると、私は、この体で生きていかなければならない。
生理もあるし、最近は、子供を産みたいという気持ちになることもある。
生理が終わった直後に、がまんできなくて一人エッチもすることもある。
体が感情に与える影響に驚く毎日なの。
そんな中で、瑠香と抱き合うことが最近、違和感を感じるようになってきたの。
違和感というよりは、気持ちが悪い。
もう、この関係は続けられない。
私は勇気をもって瑠香に伝えることにした。
「瑠香、ごめんなさい。瑠香が私にいっぱいの喜びを与えてくれたことは知っている。」
「それで?」
「本当にごめんなさい。別れてほしいの。」
瑠香は、呆然と私の前に足し尽くしていた。




