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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第二部「大罪と新国家編」

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第89話:永遠の収穫と、朽ちない緑

鋼鉄のジャングル


第四将を撃破し、帝都の深層部へと進むアヴァロン軍。 だが、その進路は突如として異様な光景に塗り替えられた。


無機質な金属のビル群が、どこからともなく伸びてきた極太の蔦や根に覆われ、瞬く間に熱帯雨林のようなジャングルへと変貌していたのだ。


「なんだ、これは……? コンクリートから植物が生えているのか?」


装甲車のタイヤが、地面を覆う苔に足を取られる。 空気中には黄色い胞子が舞い、視界を遮っていた。


「ゴホッ……! 気をつけてください! この胞子、猛毒です!」


フィーネが警告と同時に浄化魔法を展開するが、胞子の濃度が高すぎて結界が軋む。 吸い込んだ兵士たちが、喉を押さえて倒れ込み、その体から小さな芽が生え始めていた。


「人体を苗床にしている……! 悪趣味な庭師だ」


蓮は、防毒マスク越しに周囲を睨みつけた。


第六将『不滅』


「ようこそ、私の楽園へ」


巨大な食虫植物のような花の中から、一人の男が上半身を現した。 彼の皮膚は樹皮のようにゴツゴツしており、髪の代わりに緑の葉が茂っている。


ゼノン帝国第六将『苗床シード』。 そして神の座**『不滅ふめつ』の器**。


「私は死なない。枯れない。ただ増殖するのみ。この帝都を、そして世界を緑で埋め尽くすのが、私の『不滅』としての使命だ」


第六将が腕を振るうと、周囲の蔦が生き物のように襲いかかってきた。 装甲車が締め上げられ、ベコベコに潰されていく。


「ユリア! リサ! 本体を叩け!」


「御意!」


ユリアが疾走し、リサが跳躍する。 二人の同時攻撃が、第六将の胴体を真っ二つに切り裂いた。


「手応えあり!」


だが、切り落とされた断面から、血ではなく樹液が溢れ出し、瞬時に新しい肉体が再生した。


「無駄だ。私は植物であり、大地そのもの。根が残っている限り、何度でも蘇る」


無限の消耗戦


「キリがないよ! 切っても切っても生えてくる!」


リサが爪で蔦を引き裂くが、その端から倍の数の蔦が伸びてくる。 第六将の『不滅』は、単なる再生ではない。ダメージを受けるたびに、それを養分として成長する「過剰進化」だった。


「ハハハ! 疲れたか? 諦めろ。貴様らが呼吸をするたびに、私の胞子が肺に根を張り、内側から貴様らを食い破るぞ」


アヴァロン軍の動きが鈍っていく。 物理的な疲労と、体内に侵入した毒花粉の影響だ。 このままでは、全員がこのジャングルの肥料になってしまう。


「不滅、か。聞こえはいいが、要するに『癌細胞』と同じだな」


蓮が、毒の霧の中を悠然と歩み寄る。 彼には毒が効いていない。いや、体内に侵入した胞子を、自身の魔力で即座に分解・吸収していた。


「制御なき増殖は、ただの環境破壊だ。美しくない」


「何だと? 貴様に生命の神秘が分かるものか! 肥料になれ!」


第六将が、無数の棘の槍を蓮に向けて放った。


命の使い道


蓮は避けなかった。 漆黒の義手で、迫りくる棘を一本掴み取り、そこから第六将本体へと魔力を逆流させる。


「生命力があるのはいいことだ。だが、使い方が間違っている」


蓮の目が冷徹に光る。


「良く、なれ」


対象は、第六将『不滅』の過剰な再生能力。 定義するのは『独占的な増殖』から『利他的な実り』への変更。


「お前は、自分が増えることしか考えていない。だから毒を撒く。だが、これからは違う」


蓮が義手を握り込む。


「その有り余る生命力を使って、他者を生かす『糧』を作れ」


「な、なに……!? 私の体が……勝手に花を……実を……!?」


第六将の表情が驚愕に染まる。 彼の全身から、毒々しい蔦ではなく、瑞々しい果実をつけた枝が爆発的に伸び始めた。


「栄養価が逃げていく! 私の不滅の命が、果実エネルギーとして排出されていくぅぅぅ!」


世界樹の誕生


「嫌だ! 私は肥料係じゃない! 私は神に……!」


第六将の抵抗も虚しく、彼の肉体は急速に木質化していった。 毒花粉は甘い香りのする芳香へと変わり、兵士たちの体調を劇的に回復させる。 そして、彼が生み出す果実は、一つ食べれば三日は戦えるほどの高栄養・高魔力の『神の果実』となっていた。


ズズズズズ……!


数分後。 そこには、天を衝くほどの巨大な大樹がそびえ立っていた。 その枝には、黄金色に輝く果実が無数に実っている。


第六将は、その自我を失い、アヴァロン軍(および将来のアヴァロン国民)に永遠に食料を供給し続ける『世界樹』へと生まれ変わった。


「……また一つ、便利なインフラが増えたな」


蓮は、落ちてきた果実を一つ手に取り、かじった。


「うん、悪くない。カイル、これを補給物資として回収しろ。兵士たちの傷もこれで治る」


「は、はい! 食料問題まで解決してしまうとは……」


カイルが呆れながらも、大樹を見上げて感嘆する。


毒のジャングルは、豊かな果樹園へと変わった。 『不滅』の脅威は去り、残る八神将はあと一人。


そして、その先にある皇帝の間。


「さて。邪魔な雑草は刈った」


蓮は、大樹の向こうに見える、帝都最深部のタワーを見据えた。


「残るは『勝利』と『王権』。……待っていろ、アレックス。お前もどこかで見ているんだろう?」

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