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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第二部「大罪と新国家編」

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第83話:『虚無』の覚醒と、開戦の狼煙

歪んだ神性


「……なんだ、その目は」


パラガスを殺害した第七将『アシッド』は、立ち上がった蓮を見て、機械化された背筋が凍るのを感じた。


蓮の姿は変わっていない。だが、彼から溢れ出す魔力は、黒い炎となって天井を突き抜け、アヴァロンの空を覆いつつあった。


「その波長……間違いない。貴様が11の席の一つ……『虚無』の器か」


「……虚無?」


蓮が顔を上げる。その瞳は深淵のように暗く、光を一切反射していなかった。


「そうだ。我ら八神将もまた、偉大なる皇帝陛下より賜った『聖なる不死者』の候補。我は水を司り、万物を一つのスープへと還すことで完成させる**『完全かんぜん』の器**!」


第七将が胸を張り、名乗りを上げた。


「個であることは不完全だ! 溶け合い、混ざり合い、一つになることこそが『完全』なのだ! さあ、貴様のその右腕も溶かして、我の一部として完成させてやろう!」


存在の抹消


「完全……? 笑わせるな」


蓮が一歩踏み出すと、足元の空間がピシ、とガラスのようにひび割れた。


「お前のはただの化学反応だ。ドロドロに溶かして混ぜれば『完全』になるとでも思ったか? それはただの『汚濁』だ」


蓮が漆黒の義手をかざした。


「黙れッ! 不完全な個体が!」


第七将が激昂し、全身の砲門から最強の溶解液を噴射した。


「溶けろぉぉぉ! 骨も残さず!」


だが、その液体は蓮に届く前に、空中で「存在しなく」なった。蒸発したのではない。最初から無かったかのように消え失せたのだ。


「な、何をした!? 我が『完全』なる水はどこへ行った!」


「ここだよ」


蓮は、いつの間にか第七将の目の前に立っていた。


蓮の義手が、第七将の顔面を鷲掴みにする。


「お前はパラガスを奪った。だから僕は、お前の『存在』を奪う」


蓮が低く呟いた。


「良く、なれ」


対象は、第七将『完全(の失敗作)』。 定義するのは破壊でも死でもない。『存在の抹消』。


「消えろ。歴史からも、記憶からも、この世界からも」


「や、やめろ! 我は選ばれた器だぞ! 神になる男だぞ! ぎゃあぁぁぁぁぁ――」


第七将の悲鳴が、ノイズのように途切れた。


彼の身体が足元から黒い粒子となり、さらさらと崩れていく。魂も、意識も、彼を構成していた物質も、全てが『虚無』へと吸い込まれ、完全なるゼロへと還っていく。


数秒後。 そこには塵一つ残っていなかった。彼は、最初からこの世に存在しなかったかのように消滅した。


撤退する神々


アヴァロン上空。


侵攻を続けていた他の八神将たちが、一斉に動きを止めた。


「……おいおい、マジかよ」


第一将『牙』――『勝利しょうり』の器候補が、冷や汗を流して地上を見下ろした。


「『完全』の反応が消えた。死んだんじゃない。消滅したんだ」


第三将『胃』――アヴァロンのグラから暴食因子を移植された男が、腹をさすりながら怯える。


「あいつ、ヤバいよ。あいつの右腕は、もっと根源的な『何か』だ」


第一将が舌打ちをした。


「撤退だ。これ以上深入りすれば、俺たちも『虚無』に飲まれる。目的の『器の確認』と『宣戦布告』は済んだ」


彼らは、アヴァロンの中枢を強襲したにも関わらず、蓮の覚醒を前にして潮が引くように撤退を開始した。


弔いと誓い


静寂が戻った半壊の司令室。


蓮は、パラガスの亡骸の前に膝をついていた。


「……パラガス」


蓮は、冷たくなった老参謀の手を握った。


「お前は言ったな。この国を、世界一の国にすると」


涙は出なかった。悲しみは、すでにどす黒い怒りと殺意へと昇華されていた。


「約束する。僕は王になる。そして、お前を奪ったゼノン帝国……いや、『神』を名乗る全てのふざけた連中を、この手で葬り去る」


蓮は立ち上がり、カイル、ユリア、リサ、そして駆けつけた国民たちの前で宣言した。


「聞け、アヴァロンの民よ!」


蓮の声が、国中に響き渡る。


「我々は今日、家族を失った。だが、悲しんでいる暇はない。敵は西の大国、機甲帝国ゼノン! そして奴らが崇める『11の器』たちだ!」


蓮が右腕を天に掲げると、アヴァロン全土の魔力が共鳴し、黒いオーラが立ち昇った。


「戦争だ。僕たちをゴミ扱いし、踏みにじろうとする『傲慢』な連中に、本当の地獄を見せてやる!」


十一の聖座、その内訳


その頃、ゼノン帝国の玉座の間。


皇帝は、撤退してきた将軍たちからの報告を受け、薄ら笑いを浮かべていた。


「『完全』が消えたか。やはり、奴は本物だったな」


皇帝は、壁画に描かれた『11人の器(神格者)』の図を見上げた。


そこには、世界の理を構成する11の座席が記されていた。


【聖なる不死者】


善思ぜんし』 …… 善き思考。


真理しんり』 …… 最良の真理。


王権おうけん』 …… 望ましき統治。(※ゼノン皇帝)


献身けんしん』 …… 聖なる敬虔。


完全かんぜん』 …… 至高の十全。(※第七将により欠番)


不滅ふめつ』 …… 不死の生命。


【崇拝される者】 7. 『契約けいやく』 …… 約束と光明。 8. 『勝利しょうり』 …… 戦と征服。(※第一将) 9. 『清浄せいじょう』 …… 水と清め。 10. 『裁定さいてい』 …… 公正なる審判。


「そして……イレギュラーな第11座。深淵より来たりて、全てを無に帰す破壊の神」


虚無きょむ』 …… (※神崎蓮)


皇帝は、残る一つの白い人型を見つめた。


「『完全』の座は空いたが、構わん。他の座が埋まれば儀式は成立する。蓮よ、東の果てで精々吠えるがいい。お前が強くなればなるほど、私が『王権』を持って支配する甲斐があるというものだ」

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