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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第二部「大罪と新国家編」

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第80話:逆流する胃袋と、究極のゴミ処理場

満腹の拒絶


「が……ぁ……ぐぅぅぅ……ッ!?」


グラの顔色が青から紫、そして土気色へと変わっていく。


彼の口の中に突っ込まれた蓮の右腕から、ドス黒い魔力が胃袋の奥底――異次元空間へと流し込まれていた。


「お前の胃袋は無限かもしれない。だが、入り口は一つだ」


蓮は冷徹に言い放った。


「良く、なれ」


蓮がグラの消化器官に与えた新しい定義は『完全なる拒絶リバース』。


本来、あらゆるものを分解し吸収するはずの『暴食』の概念を、180度反転させたのだ。


「お腹……いっぱい……! 苦しい……出ちゃう……!」


グラの腹部が風船のように膨れ上がる。彼が食べた山や川、そしてアヴァロンの防壁といった莫大な質量が、出口を求めて暴れ出したのだ。


「吐け。僕の国の資産だ。石ころ一つ残さず返してもらう」


蓮が義手を引き抜くと同時に、グラが天を仰いだ。


資源の噴水


ドッパァァァァァァン!!


グラの口から、凄まじい勢いで「モノ」が噴出した。


それは汚物ではない。


圧縮されていた岩盤、大量の土砂、飲み込まれていた川の水、そしてかじり取られた『黒鋼』の防壁の破片。


それらが奔流となって空へ打ち上がり、アヴァロンの外縁部――まだ開発が進んでいなかった荒野へと降り注いだ。


「す、すごい……! 山が一つ、出来上がっていきます!」


モニターを見ていたパラガスが叫ぶ。


「消滅したと思われた北の資源が、アヴァロンの敷地内に移動しただけとなりました! これだけの土砂とレアメタルがあれば、埋め立てと拡張工事が十年分進みます!」


グラは、生きたベルトコンベアのように、飲み込んだ資材をアヴァロンのために「運搬」してしまったのだ。


「うぇぇ……っ、げぇぇ……」


数分間に及ぶ「嘔吐」の末、グラは胃袋の中身を全て出し尽くした。


飲み込んでいた森林の一部までもが吐き出され、荒野にあっという間に緑地が生まれた。


飢餓の終わり


「……からっぽ。なにもない」


出し尽くしたグラは、元の痩せこけた少年の姿に戻り、地面にへたり込んだ。


その目からは涙が溢れている。


「お腹すいた……。でも、もう食べられない……。食べても、全部出ちゃう……」


蓮の書き換えにより、彼は「奪うための暴食」を行うと、即座に吐き出す体質になってしまっていた。


「ああ。お前はもう、人のモノを奪って腹を満たすことはできない」


蓮は、ポケットから包みを取り出した。アヴァロンの食堂で作られた、携帯用の堅焼きパンだ。


「ほらよ」


蓮がパンを投げると、グラは反射的にそれをキャッチし、恐る恐る口に入れた。


「……!」


グラの目が大きく見開かれる。


「美味しい……。味が、する……」


「僕が『許可したもの』だけは、消化できるように設定しておいた」


蓮は、泣きながらパンを頬張るグラの頭を、コツンと義手で叩いた。


「奪うな。与えられたものを食え。そうすれば味もするし、栄養にもなる」


アヴァロン環境局


戦闘終了後、アヴァロンには新たな施設が誕生した。


地下深くに設置された『リサイクル・プラント』。その中央に、グラが座っていた。


「お仕事の時間だぞ、グラ」


作業員たちが、都市から出た大量の産業廃棄物、生活ゴミ、失敗した実験の残骸などを、ベルトコンベアで運んでくる。


「いただきまぁす!」


グラが口を開け、ゴミの山を一瞬で吸い込む。


蓮の調整により、彼は「不要なゴミ」だけを完全に消滅させ、その過程で発生するエネルギーを都市の暖房へと還元するシステムへと組み込まれたのだ。


「焼却炉いらず、埋め立て地いらず。有害物質も彼が食べて分解してくれる」


視察に来たカイルが、目を輝かせてメモを取る。


「究極のエコシステムだよ! 暴食の大罪が、世界一クリーンな街を作ってるなんて!」


「ああ。ゴミを食って、感謝されて、腹も満たされる。あいつにとっても天職だろう」


蓮は、幸せそうにゴミを咀嚼するグラを見て、フッと笑った。


最後の影


こうして、アヴァロンは六つの大罪を攻略し、その全てを国家運営の礎として取り込んだ。


強欲の経済力。 憤怒の軍事力。 色欲の水質浄化。 嫉妬の防諜・結束。 怠惰の動力源。 暴食の廃棄物処理。


アヴァロンは今や、欠点のない完全無欠の要塞都市へと進化していた。


だが。


「……揃ったな」


蓮は、王城の最上階から、遥か彼方の空を見上げた。


雲が渦巻き、不気味な紫色の雷光が走っている。


「六つの駒が落ちた。残るは『キング』だけだ」


最後にして最大の大罪、第七の災厄『傲慢プライド』。


それは、他の六つとは次元が違う。蓮と同じく、あるいはそれ以上に「王」としての資質を持ち、世界そのものを足元に見る、絶対的な強者。


「来いよ。どちらが真の王か、決めようじゃないか」


蓮の右腕が、戦いの予感に共鳴して激しく疼いた。


空が割れ、天から光の階段が降りてくる。


その頂に立つ影が、ゆっくりと地上――アヴァロンを見下ろした。


「地を這う蟲どもが。随分と積み上げたようだな」


声だけで大気が震え、アヴァロンの『黒鋼』の城壁に亀裂が走る。

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