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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生


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第6話:闇騎士団との衝突と、光の勇者の影

騎士団の制圧 中級ダンジョン「深淵の地下迷宮」の深部。蓮たちの前に、黒い鎧を纏った十数名の騎士団が現れた。


彼らは元々、佐野瑛太がゴブリンロード討伐に失敗した際に、その責任を負わされ切り捨てられた騎士団の一部だった。彼らは王都への不満を募らせ、この迷宮を拠点としていた。


騎士団長は剣を抜き、威圧的に告げた。


「我々は元・王都騎士団、闇騎士団を名乗る!この迷宮の制圧は、光の勇者様の命令だ。貴様らのような得体の知れない冒険者に邪魔はさせん!」


蓮は静かに笑った。


「光の勇者様、ですか。彼が制圧できなかったからこそ、僕たちがここにいるのでしょう」


「黙れ!Eランクの落ちこぼれが!」


騎士団長が突撃の号令をかける。訓練された騎士たちが、一斉に蓮たちに向かってきた。


「リサさん、フィーネさん。お願いします」


「任せて!」リサが獰猛な笑みを浮かべた。


「はい、神崎様!」フィーネが杖を構える。


リサは、覚醒した【獣王剣舞】の敏捷性で、騎士団の密集した陣形の中を稲妻のように駆け抜けた。彼女の剣は、騎士たちの分厚い鎧の継ぎ目を正確に、そして恐ろしいほどの速度で打ち抜いていく。


ガキン!という甲高い音と共に、黒鎧の騎士たちは、何が起こったのか理解する間もなく、次々と戦闘不能に陥った。リサの速度と力は、騎士団の連携を完全に無効化していた。


強化された守り 騎士団長は、リサの超人的な戦闘力に驚愕した。


「馬鹿な……!あの獣人、Sランクの討伐隊より速いだと!?」


その隙に、騎士団長はフィーネを狙い、魔力を込めた突進を仕掛けた。治癒師を叩けば、パーティーは崩壊する。


「治癒師よ、死ね!」


しかし、フィーネの周囲には、蓮によって強化された『空気』の障壁が幾重にも張り巡らされていた。これは、蓮が【全能化】で、フィーネの周囲の『防御力』を無限に高めた結果だった。


騎士団長の渾身の一撃は、透明な壁に叩きつけられ、ドォン!という衝撃波を発生させながら弾き返された。


「なっ、何だこの壁は!?」


「触れられなくても強化できるのが、【全能化】の強みです」蓮は冷静に告げた。


そして、リサが騎士団長に肉薄する。騎士団長は防御を固めたが、リサの剣は、彼の盾をまるで紙のように切り裂いた。


「くっ……!私は、あの裏切り者の勇者のために、こんなところで……!」


騎士団長は憎しみを込めて「勇者」の名を口にした。


蓮は、騎士団長が倒れる寸前に、木の枝の先端を軽く喉元に突きつけた。


「闇騎士団長。あなたたちが誰に責任を押し付けられ、誰に追放されたかは知っています。彼も、僕を『底辺』と嘲笑し、王都から追い出した人物ですから」


騎士団長は、自分たちを裏切った勇者と同じ境遇の人間がいることに驚いた。


「貴様も……?だが、この力はなんだ。Eランクスキルなどではありえない!」


「ええ。ゴミをちょっと良くする能力が、極まるとどうなるか。これは、光の勇者が知る必要のない真実です」


名声の帰属 騎士団を制圧した後、蓮は彼らを拘束し、この迷宮がすでに安全であることを示す証拠をまとめて、ギルドに報告した。もちろん、闇騎士団の存在と、佐野瑛太の失態についても、詳しく報告書に記載した。


この功績により、『エンハンサーズ』は瞬く間にAランクまで昇格した。


街の人々は、「底辺スキル」と「追放された獣人」という異色のパーティーが、王都が誇る光の勇者すら手を出せなかった中級ダンジョンを一晩で制圧したことに熱狂した。


一方、王都では。


「どういうことだ!佐野瑛太は、その中級ダンジョンを攻略して名誉を取り戻すはずだっただろう!」王が怒鳴りつける。


「は、はい……その迷宮は、すでに『エンハンサーズ』というパーティーによって攻略されました。しかも、勇者様が切り捨てたはずの騎士団の残党も、彼らが制圧したと……」宰相が震えながら報告した。


瑛太は王都の宿舎で、怒りに家具を蹴り飛ばしていた。


「クソッ!あのEランクの底辺が、僕の獲物を横取りしやがって!しかも、リサまであんなパーティーに入りやがって……!許さん!」


瑛太がゴブリンロード討伐失敗で失墜した名声は、蓮が中級ダンジョンを攻略したことで、さらに地に落ちた。しかも、その手柄は、以前瑛太が『使い捨て』にしたリサや、『底辺』と罵った蓮が手に入れたものだ。


次の仲間 勝利の余韻に浸る蓮たち。フィーネとリサは、蓮の実力と優しさに、ますます惹かれていた。


「神崎様、ありがとうございます。私はもう、誰にも頭を下げずに済む……」リサは心から感謝した。


「私たちの本当の強さを引き出してくれたのは、神崎様だけです」フィーネも続いた。


蓮は静かに笑った。


「僕たちの旅は、まだ始まったばかりです。もっと強くなって、いつか誰も知らない場所で、静かに暮らしましょう」


その時、ギルドの掲示板に、「王都魔術学院からの緊急依頼」が貼り出された。


『高難易度の古代遺跡調査。特に、優れた鑑定能力を持つ冒険者、または騎士団の支援ができる者を求む。報酬、莫大』


蓮は、自身の【全能化】で強化した『鑑定能力』が役立つと感じた。そして、その依頼文の下に、王都騎士団長の娘が、その調査団に加わっているという情報が追記されていた。


(騎士団長の娘……。佐野瑛太に父親を裏切られた、あの娘か)

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