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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第一部「復讐と奪還編」

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第49話:膨張する悪意と、異界からの嘲笑

1. 烏合の衆の限界

破竹の勢いで進軍を続ける蓮たちの反乱軍だったが、その内部には深刻な亀裂が生じ始めていた。


ある夜、蓮は宿営地の裏で、味方の兵士を漆黒の義手で締め上げていた。


「が、はっ……許して……蓮様……」


男は、略奪した食料を隠し持ち、さらに村の娘に乱暴しようとしたところを蓮に見つかったのだ。


「許さない。僕は言ったはずだ。弱者を食い物にするゴミは、僕が処理すると」


蓮は無慈悲に義手を握り込み、男の腕の骨を粉砕して追放を言い渡した。


だが、これは氷山の一角だった。


急速に膨れ上がった軍には、純粋な志を持つ者だけでなく、ドサクサに紛れて暴れたいだけの野盗や、規律を知らない荒くれ者も大量に混ざり込んでいた。


治安は悪化し、解放したはずの村で反乱軍が略奪を行う事例すら起き始めていた。


「……無理があるな」


蓮は、天幕に戻り、パラガスとセラフィナに告げた。


「即席の軍隊に、騎士団のような規律を求めても土台無理だ。時間をかければかけるほど、僕たちの軍自体が新たな『暴徒』というゴミに腐っていく」


「では、どうなさいますか?」


パラガスが問う。


「早期決着だ。じっくり攻め落とすのはやめる。僕と精鋭だけで王都の中枢を強襲し、一気にシステムを停止させる」


それは、蓮自身が全てのヘイトを引き受け、泥沼の内戦を避けるための苦渋の決断だった。


2. 王国の悪辣な盾

一方、王都の司令部では、貴族たちが冷酷な防衛策を決定していた。


「反乱軍の勢いは止まらん。正規兵をこれ以上消耗させるわけにはいかん」


「ならば、属国から徴兵した『アレ』を使いましょう。金ならいくらでもある」


翌日、王都へ続く平原で、蓮たちは信じられない光景を目撃した。


国軍の最前列に並んでいたのは、武装した兵士ではなかった。


ボロボロの服を着せられ、ただの木の棒を持たされた、属国の農民や女性、老人たちだったのだ。彼らは鎖で繋がれ、背後から国軍の弓兵に狙われていた。


「進め! 下がれば射殺する!」


国軍の督戦隊が叫ぶ。


「ひぃぃ! 助けて!」


「嫌だ、死にたくない!」


数千人の無辜の民が、泣き叫びながら「肉の壁」として蓮たちの前に行進させられていた。


「……ッ、どこまで腐っていれば気が済むんだ!」


セラフィナが激昂し、リサが歯をむき出しにする。


反乱軍の兵士たちも動揺した。「おい、撃てねえぞ!」「相手は婆さんや子供だ!」


3. ゲーム感覚のS級たち

その地獄絵図を、後方の高台から見下ろして笑う集団がいた。


隣国から莫大な契約金で雇われた、S級冒険者パーティ『スターダスト』の五人だ。


「うわー、マジで人間を盾にしてるよ。この国の運営、倫理観バグってんなぁ」


軽薄な口調で笑ったのは、リーダー格の男、カイト。彼はこの世界の住人ではない。異世界から転生し、神ごっこをしている「転生者」の一人だ。


「いいじゃん、カイト。敵が躊躇してる間にスキルぶっ放せば、経験値ウハウハだろ?」


「だなー。俺の『爆裂魔法』で、盾ごと吹き飛ばしちゃっていい?」


他の三人の男たち、ショウ、レンジ、ダイキも、眼下の惨劇をまるでゲームのイベントのように楽しんでいる。彼らにとって、この世界の人間の命など、NPC以下のデータでしかなかった。


だが、その中で一人だけ、フードを目深に被った小柄な少女、アイリだけが震えていた。


「……ねえ、本当にやるの? あそこには、武器を持ってない人もいるよ……」


「あ? アイリ、お前まだそんなこと言ってんの? これはクエストだぞ。失敗したら報酬もらえねーだろ」


カイトが冷たく言い放つ。


「嫌なら回復だけしてろよ。汚れ仕事は俺たち『勇者様』がやってやるからさ」


アイリは唇を噛み締め、俯くことしかできなかった。彼女もまた転生者だったが、男たちとは違い、元の世界の倫理観を捨てきれずにいた。だが、この世界で生きていくためには、彼らに従うしかなかった。


4. 決断と激突

戦場では、人間の盾が反乱軍との距離を詰めていた。


「攻撃できません! どうしますか、蓮様!」


パラガスが焦る。


蓮は、漆黒の右腕『虚空の右腕』を握りしめ、前へ出た。


「僕が出る。全軍、僕の後ろに続け。一人も殺させるな」


蓮は、盾にされている民間人たちに向かって、声を張り上げるのではなく、魔力を放出した。


それは攻撃ではない。『圧縮』の能力の応用だ。


民間人たちの足元の地面だけを『圧縮』し、急勾配の坂を作り出した。


「わあぁっ!?」


民間人たちが、次々と蓮たちの方へ滑り落ちてくる。


「保護しろ! 彼らは敵じゃない!」


蓮の指示で、反乱軍が滑り落ちてきた人々を受け止める。


「チッ、小賢しい真似を!」


高台にいたカイトが舌打ちをした。


「おい、まとめて消し飛ばすぞ。民間人もろともな!」


カイトが杖を掲げる。規格外の魔力が収束し、戦場全体を焼き尽くす規模の極大魔法が発動しようとしていた。


「死ねよ、モブども! 『ヘル・フレア』!」


巨大な火球が、蓮と民間人の頭上に降り注ぐ。


だが、蓮は逃げなかった。


彼は右腕を天に突き出し、その灼熱の地獄を正面から迎え撃った。


「転生者か……。そのふざけた『ゲーム脳』ごと、僕が握り潰してやる」


蓮の右手のブラックホールが、S級の魔法を飲み込もうと渦を巻いた。


腐った王国、使い捨てられる命、そして命を弄ぶ異界の勇者たち。


蓮の戦いは、いよいよ世界の理不尽そのものとの激突へと突入した。

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