第24話:最上階の激戦と、絆の遠隔支援
1. 黒い光の祭壇
蓮たち四人は、神の塔の最上階に到達した。空間は強烈な闇の魔力によって飽和しており、古代の魔術式が刻まれた円形の広間は、禍々しい黒い光に覆われていた。
広間の中央には、憎悪に染まりきった佐野瑛太が立っている。彼の瞳は血のように赤く、全身から噴き出す**『闇の光』**は、ただの魔力ではなく、実体を持った憎悪の奔流のように唸りを上げていた。その背後には、闇の魔術師が薄笑いを浮かべて控えている。
佐野瑛太は、獣のような低い唸り声で蓮たちを威嚇した。「来たな、神崎蓮!ここは、お前の偽りの絆を砕き、僕の真の闇が世界を支配するための祭壇となる!」
闇の魔術師は静かに告げた。「無駄な抵抗だ。英雄よ。彼の【闇の光】は、君たちの『強化された絆』を破壊するために、『憎悪の無限』という概念で強化されている。君たちの愛など、もはや通用しない!」
瑛太が放った【闇の光】は、熱を持った黒い波となって、蓮たち四人の**『忠誠』という概念**を直接攻撃した。
2. 絆の盾の極限と疲労
蓮はすぐさま、仲間との**『絆の概念』**を防御結界として最大展開した。リサ、ユリア、セラフィナの間に張り巡らされた結界は、闇の波を防ぎ止める。
しかし、憎悪の波は重い。
「くっ!憎悪が、私たちの忠誠の概念に、内側からヒビを入れようとしているわ!このままでは、結界が持たない!」リサは全身の筋肉を震わせながら叫んだ。
ユリアは厳しい顔で剣を構え、騎士の理性を極限まで保とうとする。「神崎殿!私の騎士の理性が、この憎悪に侵食されそうです……!集中力が保てません!」
セラフィナは冷静さを保ちつつも、剣聖の力で闇の光を押し返すのが精一杯だった。「落ち着きなさい!憎悪は虚偽!だが、この闇は概念的実体を持っている。物理的な断罪が届きにくいわ!」
佐野瑛太は、その隙を逃さなかった。彼は闇の光を纏った拳を振り上げると、リサの**『獣王剣舞』**の敏捷性をわずかに上回る、驚異的な速度でリサを強襲した。「無駄だ!お前たちの偽りの愛など、僕の絶望に勝てない!」
蓮は瞬時に【全能化】を発動し、リサの**『防御の概念』**を瞬間的に無限強化した。リサの周囲に現れた見えない概念の盾が、闇の光の直撃を受け止め、塔全体が震動した。
「攻撃に専念してください!僕が、あなたたちの『防御』と『能力』を、無限に積み重ねる!」蓮は魔力を極限まで注ぎ込み続けた。
3. 戦略的な概念封鎖
蓮はすぐに、最強の戦術を発動する。
「塔の**『床の概念』の『固定化』**を無限強化!」
蓮のチートにより、広間の床は、佐野瑛太の移動を妨げる絶対的な硬度を獲得した。瑛太の敏捷性が封じられ、その足が床に沈み込み、動きが鈍る。
「なんだ、この重さは!?」佐野瑛太は驚愕し、動揺する。
その一瞬の隙を、セラフィナが見逃さなかった。「断罪!」
セラフィナの剣が、瑛太の闇のオーラに僅かに触れた。闇のオーラの一部が浄化され、一瞬だけ佐野瑛太の目が元の人間的な戸惑いの表情に戻った。
闇の魔術師は焦り、再び闇の概念を注ぎ込む。瑛太は再び憎悪の傀儡へと戻るが、その接戦は、蓮たち四人にも甚大な疲労を蓄積させていた。
「くっ、これでは押し切れない……!魔力の消耗が激しすぎる……!」蓮の額に汗が滲む。
4. 遠隔からの治癒の概念
激しい接戦が続く中、遠く離れた荒野を疾走していたフィーネが、ついに神の塔の近くに到達した。
彼女は、蓮から受けた**『特別な制御』を通じて、塔の最上階での蓮たちの極限の疲労と、闇の魔力の絶望的な波動**を察知する。
(神崎様……!皆さんが、危険に瀕している……!私が行かなければ!)
フィーネは、すぐさま**『治癒の根源』**を掲げ、全魔力を注ぎ込んだ。彼女は、直接戦闘には加われなくとも、遠隔から蓮たちを支援できることに気づいた。
フィーネは**【治癒の聖域】を発動。対象は、『神崎蓮たちの身体に蓄積する疲労の概念』**。
塔の最上階。極限の疲労に喘いでいた蓮、リサ、ユリア、セラフィナの全身に、突然、温かく安堵に満ちた光が降り注いだ。
「なんだ、この光は!?疲労が、一瞬で消えた……!」リサが驚愕し、再び剣を構える。
蓮は、その光の源を悟り、瞳を輝かせた。「この感覚……!フィーネさんだ!彼女が、**『治癒の概念』を遠隔で、僕たちの『疲労』**に作用させている!」
フィーネの遠隔支援により、蓮たちの戦闘能力は瞬時に回復した。




