第23話：治癒の聖域の反逆と、塔の概念罠
1. 聖域からの脱出
エルフの里にて。長老グルードたちは、フィーネの【治癒の聖域】の力が里の魔力源を不安定にしていると主張し、彼女を治癒の間の奥に監禁しようとしていた。
「フィーネよ、里の秩序のためだ！その宝珠と異常な力は、我々が預かる！」長老グルードが衛兵に命じる。
フィーネは、**『治癒の根源』の宝珠を抱きしめ、衛兵たちに抵抗した。彼女の心は、蓮への『絶対的な忠誠』と、『使命の遂行』**という強い決意に満ちていた。
「この宝珠は、里の権威のためではありません！里を守り、神崎様に託された使命を果たすためのものです！」
フィーネは、蓮の**『特別な制御』**によって増幅された自身の魔力を解放した。
《スキル**【治癒の聖域】を発動。領域を『治癒』から『概念的な排他』**へと書き換えます！》
彼女の周りに広がったのは、優しさだけではない、浄化の概念に基づいた強い排他的な障壁だった。それは、蓮が**『闇の概念』**に対抗するために彼女に施した強化の応用だった。
衛兵たちが障壁に触れると、彼らの心に潜む**『権威への執着』や『私欲』といった負の概念**が強制的に浄化され、一瞬にして戦闘意欲を失って倒れ込んだ。
長老グルードは、フィーネの力に恐れおののいた。
「馬鹿な……！治癒の聖域が、なぜ断罪の力を……！」
フィーネは倒れた衛兵たちを飛び越え、グルードを冷たい瞳で見据えた。
「この力は、真の光のためにあります。里の危機は終わっていません。私は、神崎様の傍に戻り、この**『治癒の概念』**を、世界の闇を払うために使います！」
フィーネは里の結界を自力で突破し、『治癒の根源』を携え、蓮たちが向かった東方の神の塔を目指して、孤独な追跡を開始した。
2. 塔内部の概念罠
一方、神の塔の内部。蓮たちは、塔が佐野瑛太の憎悪と、古代の**『闇の概念』**を増幅させるために設計された、巨大な罠であることを理解していた。
塔の内部空間は、入った者の**『信念』**を試す概念的なトラップが仕掛けられていた。
彼らが辿り着いた広間には、巨大な幻影が現れた。それは、佐野瑛太が高笑いし、蓮たちを「裏切り者」と罵倒する姿だ。
「お前たちの忠誠など、すぐに崩壊する！お前たちの愛は、この塔で絶望へと変わる！」幻影が叫ぶ。
リサは怒りに震えた。
「この嘘つき！私たちの絆を、お前に汚される筋合いはない！」
リサが剣で幻影を切り裂こうとするが、幻影はすぐに再生する。
「無駄よ、リサ。これは、『憎悪』を核とした概念的な幻影。物理攻撃では破壊できない」セラフィナが冷静に分析する。
3. 絆の概念の証明
蓮は、木の枝を構え、周囲の壁と床に触れた。
「僕たちの**『絆の概念』は、この塔の『憎悪の概念』よりも強力です。この幻影は、僕たちの『信念』**を試している」
蓮は、【全能化】を発動。対象は、『ユリアの過去の屈辱』、『リサの追放の記憶』、『セラフィナの孤独の心』、そして**『三人の蓮への忠誠心』**。
《スキル**【全能化】を発動。対象：『三人の過去の負の感情』を、『蓮との絆の概念』**へと昇華・固定します。無限強化開始》
蓮の魔力が、三人の魂の奥深くに浸透する。三人は、過去の苦しみが、蓮との出会いによって**『絶対的な幸福』と『忠誠』へと書き換えられる甘美な熱**を感じた。
「ああ……神崎様……！私は、王国の使命よりも、あなたへの忠誠こそが真実だと知っています！」ユリアが恍惚とした表情で宣言する。
「この熱が、私たちの愛の証明よ！」リサが激しく応える。
三人の**『絆の概念』が、幻影の『憎悪の概念』**を凌駕し、幻影は悲鳴を上げて崩壊した。
神崎 蓮
憎悪の概念は、愛と忠誠の概念を前に、決して存在し得ません。
彼らは、塔の概念罠を、Eランクのチートと、強固な絆の力で突破した。
4. 再会へ向かう二つの力
蓮たちは塔の上層階へ急ぐ。その先に、闇の魔術師と、憎悪の傀儡となった佐野瑛太が待ち構えていることを知っている。
その頃、東方の荒野を疾走するフィーネは、蓮の**『特別な制御』がもたらす『絆の熱』**が、塔に向かう蓮たちと共鳴し、彼女の進むべき方向を正確に示していることを感じていた。
（神崎様……！もう、二度と一人で苦しむ必要はない。私を信じて待っていてください。あなたの**『治癒の概念』が、すぐにその闇**を浄化します！）
フィーネの**『治癒の根源』と、蓮たちの『絆の概念』**。二つの最強の力が、神の塔での最終決戦に向けて、加速していた。
