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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第三部「神葬と黎明編」

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第180話:水の連邦、あるいは名前なき国

1. 観察者ガルの記録:変貌する荒野

貯水池の完成から数ヶ月、ミディアム北域の景色は一変した。 かつて乾いた風が砂を巻き上げるだけだった集落の周囲には、今や細い水路が血管のように張り巡らされている。その水路に沿って、蓮が「人の国」から持ち込んだ種と、土の隠者が改良した地元の植物が、鮮やかな緑の帯を作っていた。


若者ガルは、その光景を丘の上から眺める。 かつては神の気まぐれな「恵みの雨」を待つしかなかった住人たちが、今は自分たちの手で水門を管理し、収穫の時期を話し合っている。そこにあるのは、支配者への盲従ではなく、自らの生活を自らで守るという「自立」の熱気だった。


2. 知恵の合議制

集落の中心にある大きな広場では、定期的に「円卓会議」が開かれるようになっていた。 参加するのは、古参の住人であるゼフ、移民の代表者たち、そして助言者としての蓮とユリアである。


「蓮殿。貯水池の水により、北の湿地帯との交易路が開けた。彼らが持つ耐火性の粘土と、我らの穀物を交換する約束を取り付けたぞ」


ゼフの報告に、蓮は穏やかに頷く。 蓮は決して「王」として中央の席には座らない。彼はあくまで、情報の整理と、技術的な助言を行う一員としてそこにいた。


「素晴らしい。力による略奪ではなく、互いの余剰を補い合う『交易』こそが、神の理外で生きるための最強の盾となります。……ゼフ殿、その粘土を使って、冬に備えたレンガ造りの建物を増やしましょう。魔法の障壁に頼らずとも、寒さを凌げるはずです」


蓮が目指していたのは、カリスマ的な指導者に依存する「王国」ではなく、システムとして自走する「情報の連邦」であった。


3. 土の隠者の「神学なき教え」

「土の隠者」は、村の子供たちに勉強を教えていた。 彼が教えるのは、神々への祈り方でも、高等な魔力制御でもない。土壌の質をどう見分けるか、風の流れから天候をどう読むかといった、自然との「対話」の作法である。


「神々は、君たちに『結果』だけを与え、考える力を奪った。……だが、知恵とは『過程』を楽しむことだ。自分で種を蒔き、芽が出るまでの時間を愛おしむ。それができる者に、神の奇跡は必要ない」


隠者の言葉は、神への信仰を失いかけていた住人たちの心に、新たな「自負」という名の火を灯した。 彼らにとって、蓮や隠者は神ではなかった。共に泥にまみれ、未来を語り合う、少しだけ先を行く「友」であった。


4. 大天の忘却、あるいは確定した「無」

一方、大天の四神たちは、もはやミディアム北域のモニターを消去していた。


「……あはは、あそこ、もう本当に『ただの土』になっちゃったね。魔力反応も劇的な悲劇もゼロ。あんな退屈な場所に神の関心を向けるなんて、時間の無駄だよ」


ファンタズムは、別の中継モニターを指差して笑った。そこには、神域の守護騎士たちを相手に、単身で凄絶な破壊を繰り広げている傲慢の姿が映し出されていた。


「見てよ、この『傲慢』くん! 怒りと憎しみでこんなに真っ赤な魔力を放ってる。これだよ、これこそが最高のお酒になるんだ」


ヴェスペラもまた、傲慢が撒き散らす鮮烈な破壊の情景に陶酔し、杯を重ねていた。 彼女たちにとって、蓮のいる領域は、すでに地図から消し去られた「死のデッドゾーン」であった。


5. 静かなる決意

夕暮れ時、蓮とユリアは、完成したレンガ造りの家々の間を歩いていた。 住人たちは二人を見かけると、仰々しく跪くのではなく、親しげに手を挙げ、今日の収穫や子供の成長を報告する。


「蓮様……。神々はもう、私たちのことを見ていないようですね」


ユリアが空を見上げ、呟く。 かつて蓮の右腕を縛っていた「神の視線」という重圧は、今や完全に消失していた。


「ああ。奴らにとって、俺たちはもう『死んだ』も同然だ。……だが、それこそが俺たちの勝ち筋だ」


蓮は自らの右腕を握りしめた。 そこには、かつての白銀の光とは異なる、静寂そのものを内包したような、圧倒的な「虚無の重み」が静かに蓄積されていた。 神の監視から逃れ、知恵と礼節によって作り上げられた「名前なき国」。 その中心で、蓮は来るべき「最後の一撃」のために、牙を研ぎ続けていた。

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