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「ゴミを良くする能力」と笑われたEランクの俺、無限強化で神を超え、光の勇者を踏み潰します  作者: 限界まで足掻いた人生
第三部「神葬と黎明編」

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第172話:悔恨の澱、神の祝杯

1. 閉ざされた静寂

冷たい石壁の隙間から、わずかな光が差し込む。しかし、その光さえも蓮には鋭い刃のように感じられた。


蓮は牢の隅に座り、自身の右腕をじっと見つめる。かつてその腕に宿した白銀の光は、神を殺すための希望だった。だが今、このミディアムの住人たちから向けられる視線は、それが「最悪の絶望」であったと告げている。


「……蓮様、少しでも食べてください。体力が落ちてしまいます」


ユリアが再びパンを差し出すが、蓮は首を振る。彼を動かしていた「神への復讐」という情動は、今や「無実の者を傷つけた」という重い罪悪感によって押し潰されていた。


2. 叫びの残響

「出ていけ! 人殺しの化け物め!」


鉄格子の外側から、鋭い叫び声が投げつけられる。それは一人の若い女の声だった。彼女の夫は、蓮が「地域の安定」のために排除した中間体の武装集団の一員だったという。たとえそれが神に仕組まれた戦いだったとしても、彼女にとって、引き金を引いたのは蓮であることに変わりはない。


「私の家族を返せ! 秩序なんていらない、私たちはただ、ここで生きていたかっただけなのに!」


彼女の叫びは、他の住人たちの怒りに火をつけた。石や泥が格子の中に投げ込まれ、蓮の頬をかすめて壁に当たる。蓮は避けることもしない。自身の右腕で、彼女たちの日常を「デリート」してしまったという事実は、どんな神の呪言よりも深く彼の魂を縛り付けていた。


3. 神々の審美眼

その光景を、次元の断層から見下ろす存在がいた。


真なる大天の酒宴会場では、少女の姿をしたファンタズムが、新しいグラスに紫色の液体を満たしていた。彼女はその液体を日の光に透かし、うっとりと目を細める。


「あはは! 見てよ、この色の深み。ただの絶望じゃない、そこに『加害者の自覚』という苦味が加わって、最高に複雑なヴィンテージになったね」


ファンタズムは一口含み、その芳醇な香りに身を震わせた。神々にとって、蓮たちがミディアムの住人から憎まれるのは、占領地を安定させるための「副産物」であると同時に、最高の「味付け」でもあった。


「……皮肉なものだな。救世主を気取っていた不純物が、今やその民から最も忌み嫌われる悪鬼となっている。この不協和音こそ、我らカミの種族が求める真の贅沢だ」


断罪の秤を持つ神も、冷静に、しかし貪欲にその杯を乾かした。


4. 傲慢の沈黙

牢獄の中、傲慢は目を閉じて腕を組んでいた。彼は、かつて七大罪の仲間たちが蓮によって一人残らず消し去られた時の光景を思い出していた。


「蓮。貴様が今感じているその『重み』は、私がかつて背負ったものと同じだ」


傲慢の低い声が、冷たい空気の中に響く。


「神は、貴様に力を与えたのではない。貴様を神と同じ高みに上げることで、人間としての心をじわじわと削り取り、最高の酒を作っているのだ。……今の貴様は、奴らにとって最高の『醸造家』であり、同時に最高の『果実』なのだよ」


蓮は答えなかった。ただ、自身の右腕を強く、自らの肉を抉るほどに握りしめる。


5. 歪んだ救済

「さあ、蓮くん。いつまでそうやって落ち込んでいるのかな?」


ファンタズムの声が、牢獄の中に直接響いた。姿は見えないが、その嘲笑は蓮の鼓膜を不快に揺らす。


「君がそうやって動かない間にも、ミディアムの治安はまた悪化しているよ。君を恨む人たちが暴動を起こして、自業自得で死んでいく。……ねえ、君がもう一度その右腕を振るえば、彼らを一瞬で『静か』にできるんだよ? それが君の望んだ復興なんだろう?」


神は、蓮にさらなる「破壊」を促す。それが善意であれ悪意であれ、蓮が力を使えば使うほど、彼はミディアムの人々から遠ざかり、神の占領地としての完成度が上がっていく。


蓮の瞳の奥で、白銀の虚無が暗く淀んでいた。

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